ジェット風呂とプール排水口

プール事故

  13日の朝刊を見てびっくり。ジェット噴流式のお風呂の吸水口にこどもが吸い込まれて死亡したという記事がありました。これって、プールの排水口と同じ問題じゃないですか!

 事件は9月21日夜に発生。小1の女の子がノーリツ製ジェット風呂の吸水口に髪の毛が絡んだ状態で沈んでいるのを母親が発見。髪を切ってすぐに病院に運んだが間もなく死亡したとのこと(読売新聞関東版11月12日)。

  ジェット噴流式のお風呂とは、お風呂の水を吸い込んで気泡を混ぜ別の排出口から吹き出すという仕組みです。そのためにポンプが必要ですし、当然吸引圧もかかります。ノーリツ製のお風呂の吸水口には直径9cmの円盤状のカバーがついていましたが、浴槽との間に約5ミリの隙間があり、そこから水を吸い込んでいました。そこに髪の毛が吸い込まれてしまい穴を閉塞したことでさらに吸引圧が高くなり、こどもの力では抜け出すことができなかったのでしょう。
  学校プールの排水口の事件を思いだして下さい。排水口に吸い込まれて死亡する話ですが、ジェット風呂も理屈は全く同じです。体の一部が吸い込まれて吸い込み面積が減ると、吸引力は信じられ位に強くなり脱出不可能となっています。

  8年前の1992年にも別のメーカーのジェット風呂で小1の女の子が髪を吸い込まれ死亡するという事件があっため、ノーリツも1993年からの販売分については排水口カバーを改良していたようです。しかし、吸引圧問題についてはノーチェックでした。プール排水口事件を知らなかったのか、死亡事件の重みを真剣に考えていなかったというべきでしょう。 松下もTOTOも積水もクボタもクリナップもサンウエーブもトステムも日立化成も大阪ガスも東京ガスも、み〜んな同じ状況です。つまり、どのジェット風呂でも同じ危険性があるということです。今回の事件報道の後、同様の事件は5、6件判明しています。
  業界は「運転中、お風呂に潜るな」とか「こどもは一人で風呂に入るな」とかの注意事項を11月14日の新聞で「急告」しましたが、製品の根本欠陥をユーザーの使用方法で解決せよ、という姿勢は変です。家族の命が大事ならジェット風呂を使わないこと、もし今使っているなら止めることが肝心です。それが一番の対策といえましょう。

*この原稿は日本消費者連盟関西グループ「草の根だより」(2000/11)に掲載したものです。 ’