家づくり実践記(17):鉛、再び

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日本消費者連盟関西グループ『草の根だより』(00/02月号所収)    

 あれだけ有害建材をチェックしていたつもりでした。だのに、とんでもない所に見落としがあり。事もあろうに、考えに考えた水道給水管の中に、です。問題は銅合金設備。国産の銅合金設備はほとんどすべて鉛入り、それも数%というオーダーで含まれているという事実に唖然。最初に言っておきますが、どこの家でも新築既築関係なく同じ話です。

 私の家の水道給水管は塩ビを排除したものであり、ポリエチレンや架橋ポリエチレンを使い、「さや管ヘッダー工法」で設置したものであることは既に触れた通り。この工法では、家屋外部に置いたヘッダー部分と蛇口を1対1で接続するため、途中に配管の繋ぎ目(継手)がいらず、漏水の心配もありません。問題の銅合金がどこにあるかといえば、樹脂管を繋ぐヘッダー部分などがそうです。どこの家庭でも給湯器や水栓回りの接続部分、場合によっては水栓そのものも銅合金製品ですから、そこからの鉛汚染を心配しなければなりません。 
 昨年末、日本の水道配管製品は米国では使えない、なぜかと云えば鉛入りだからだという話が伝わってきました。当初、継手に入っている鉛のことかなと思っていると、昨年末TOTOが鉛対策を施した製品を発売するとの新聞報道もあり、ほとんどの銅合金性機器に鉛が3〜5%も入っていることがわかりました。うちの家で使った銅合金製品を確認してみると、5%の鉛入り。代替品はないのかと尋ねると、メーカー側は「いずれ出さざるを得ないが、今は法律上問題ないので継続している」とのこと。米国向けでは危険だからアウトでも、日本では問題なしという考え方は、納得できません(プンプン)。
最近、全く鉛を使わない水道設備を出しているメーカーもあるらしいのですが、値段が高く広がっていないとのこと。またTOTOのようにコーティングで鉛溶出を防ぐ製品も現在の鉛入り製品をあらかた売ってから本格販売開始になる模様です。実際のところ、有田宅の工事時期には国産品で鉛が入っていない製品は皆無だったようです。

さて、今回の「見落とし」がなぜ起きたか。まず、銅合金を銅と亜鉛の合金だと思い込んだこと。教科書的には正解でも、実世界では加工性や製品品質をいじるために各種重金属や化学物質を添加することがあり、銅合金製品もそのひとつだったのが盲点。次に、メーカー側は都合の悪い情報を教えてくれないという事実。こちらがある程度の情報を持っていないと、製造メーカー側が進んで危険情報を公開してくれるわけではない。不純物程度に含有されているのは仕方ないと思っていましたが、まさか積極的に入れていようなんて・・・・・。
 もっと恐ろしいことは塩ビ水道管の塩ビにも鉛が含まれており、日本全国どこでも鉛汚染の仕掛けが完備しているという「事実」。いや、もっと恐ろしいのは、国や業界が、鉛の「事実」を消費者に知らせず、裏でコソコソしている方でしょうか。