預ける前には余剰分のチェックを!

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まだまだ続きます。FIT終了後に電力会社が用意している余剰電力の預け制度について考えてみましょう。
関西地域に電力供給を行っている関西電力は昨年ソーラー発電契約者に対し、「仮想蓄電サービス」を提供することを提案したことは既に触れた通り。このサービスのネックは事務手数料として月々2000円程度(予定)をとること。ここが厄介。

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先日来お伝えしているように、ソーラー電力の余剰分について自由に販売先を選べるようになりました。原発推進に反対、あるいは疑問を持っている人は、東電や関電など大手の原発推進企業以外の電力会社を選ぶということも可能になったというわけです。

現実的に云えば、電気には色はついていないので、私たちは原発で発電した電気から逃れることはできません。原発を動かしている限り電線に流れる電気の一部は原発由来のものだから。

でもそれはそれ、個々の電力会社の運営方針とは別の話。ローカルな電力会社が地域内の太陽光発電等の再生エネルギーから得られた電力をメインにして送電量を確保することもできますし、(米軍の戦略的理由か)沖縄電力のように非原発な電力会社もあります。そういう電力会社に売るというのは反原発・脱原発の実践的手段でしょう。

(出典)関電アンケート

今秋のFIT後を睨んで、大手電力会社は太陽光発電の余剰分の買取価格を安めに設定しました。でも、これでは顧客が新電力へ逃げるのを予想したのか、電力を預けるサービスも用意すると発表。関西電力でいえば、先に触れた「仮想蓄電サービス」がそれです。

このサービスは余剰分を買い取るのではなく、いったん預かっておいて顧客が夜間などに使う電力と相殺しようというもの。要するにバーチャルな蓄電池です(仮想蓄電)。

最初は良いアイデアかなと思ったのですが、このためには月額サービス料という名目の手数料が必要なので、それに相当する分だけ余剰電力がないと持ち出し(マイナス勘定)になってしまいます。

たとえば、拙宅では蓄電池を使っているので余剰分がそれほどありません。この場合、月2000円の手数料がまるまる取られてしまう期間がそれなりにあることがわかりました。これから発表される月額サービス料が1000円以下でない限り、新電力に売る方がずっとお得ということになりそうです。

一方、電力自由化で地域の大手ガス会社が電力サービスに参入しているので、余剰分をガス会社に売るという方法もあります。下図は関西の大阪ガスの例です。大阪ガスと電気購入契約を結べば余剰分の買取価格は1円上乗せの9円(関西電力へ売ると8円)と少し魅力的です。おまけにガスを使っている家では会計管理もいっしょになるため利便性は増すことでしょう。

どの会社へ売るのがいいか、なかなか悩ましいところですが、前回も書いたように「なぜ太陽光発電を始めたのか」という原点を忘れないようにしましょう。

ということで、とりあえずのまとめ。

1)ソーラー発電能力が大きく余剰電力が多い家庭では →

・・・売り買い双方の量から損得を計算し、他電力へ売る場合と比較する。

2)蓄電池を使い余剰電力があまりない場合 → 月額手数料が重石

・・・余剰分で得られる買取額から事務手数料を差し引いた金額を確認の上で判断
(おそらく新電力へ売る方が金額的にベター)

3)金銭どうのこうのではなくお気に入りの電力会社を選ぶ →
・・・ふるさと応援あるいは縁のある地域の電力サービスに参加
・・・原発反対なら原発電力を使わない・あるいは少ない電力会社を選ぶ

以上、個々のケースで発電能力や使用実態が違うので、それぞれの余剰分と購入分を数年分はきちんと把握してから判断して下さい。