家づくり実践記(16):体感温度とは

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日本消費者連盟関西グループ『草の根だより』(00/01月号所収)    

 先月サワリを書いた輻射温度計、昨年末に到着しました。この温度計での測定結果を紹介する前に、普通の温度との違いを明確にしておきましょう。


 私たちが暖かいとか寒いという時、気温が高いとか低いとかで評価します。でも、実際にはどうでしょうか。風があれば寒く感じ、湿気があれば暖かく、あるいはムシ暑く感じますし、気温が高くても乾燥している時にはあまり暑く感じません。つまり、気温だけではうまく寒暑を言い表せない場合も多いはず。なぜでしょうか。
私たちの体温は36〜7度C、水を飲んだり呼吸したり排尿・排便・発汗等を行いながら、この体温を一定に保っています。呼吸や排泄を除けば、放熱は体表面全部から行われますから、体の周りの気温だけなく湿度や気流、そして輻射温度に左右されることになります。服の着方ひとつで寒い暑いの感じ方が違うのも、服という「覆い」で輻射熱の出入りを調節しているからに他なりません。
 一般に快適さに関係がある要素として、温度、湿度、気流、輻射の4つを考える必要があり、これら組み合わせによって、いろいろな体感温度の指標が提案されています(難しい話は専門書に当たって下さい)。
 話を簡単にしましょう。先の話で風と湿気を一定とすれば、快適さは気温と輻射温度を考えればよいことになります。そう考えたのが作用温度という体感温度の指標で、面倒な計算を省くと、気温と輻射温度を足して2で割るというのが計算方法です。つまり、体と周囲の物体、天井、壁、床や家具との熱のやり取りは、気温と同じ重みで評価しなさいね、というわけ。この温度を測定するのが輻射温度計というものです。いろいろなタイプがありますが、拙宅では労働基準法で使うグローブ温度計を購入しました(写真)。

 さて、測定してみると、拙宅内部の輻射温度は気温よりも2,3度高い場合が多く、日射がない部屋でも2度前後は高いということがわかりました。家全体が暖まっている証拠でしょうか。南側で日射がある部屋では気温もそれなりに高くなりますが、それでも輻射温度の方が高いのは、壁や床などの周囲の温度もそれ以上に上がっているのでしょう。こういう結果をみると、前回報告したように拙宅が室温が18度C程度でもかなり暖かく感じるのが納得できます。
 まだ曖昧な点はありますが、これ土壁や木材をふんだんに使った効果だと喜んでいます。もちろん、熱容量の大小、伝熱度合い等、いろいろ複雑なことを加味して検討する必要はありますが、夏期に輻射温度が室温よりも低く出るようであれば、設計時の目論見はピッタシカンカンの予想通りとなります。さてどうなりますことやら。