人間は乾電池か?

.Books&DVD…

ちょっと気になることがあり、昔観た映画を改めて鑑賞。映画はThe Matrix、邦題はマトリックスで、そのまんま。当時話題になったのは超高速で弾を避けるカンフー的なワイヤーアクションでしたが、一番びっくりしたのは話のベース。この世界は仮想空間で、本当は機械のエネルギー源として人間が飼育されているという内容の凄まじさ!

・・・

マトリックスというのは数学でいうところの「行列」ではなく、基盤とか基質という意味。そう考えればタイトルの意味合いが見えてきます。

映画は1999年。三部作仕立てになっていて、二作目は「リローディッド」、三作目は「レボリューションズ」(どちらも2003年)。出演はキアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、キャリー・アン・モス等々。(WiKiはこちらをクリック)。

舞台は機械が支配する数百年後の世界。でも、人間はそのことにすら気づいていない。というのも、飼育ケージで、機械によって作られた仮想世界の中で暮らしており、ヒトの生存エネルギーは機械のエネルギー源として利用されているというもの。その説明が「人間は乾電池」というものでした。

AI(人工知能)を有した機械文明が人間を支配するという筋立ての先見性は素晴らしく、20年前の映画とは思えず、今見ても古さを全く感じさせません。

よく考えるまでもなく、私たちの現実はメディア等によって紹介される世界で形作られています。リアルとフェイクを区別できないのなら、今生きている世界は仮想世界といったいどこが違うのか。乾電池機能を失った人間が廃棄されるSFな物語と現在のネオリベ的使い捨て雇用とが重なってきて仕方ありません。

おそらく、この映画のメインテーマはそんな現代風刺。AIが日常的に話題にされる今、この映画の意味合いはいやおうなく現実化してきたといってもよいのではないでしょうか。

この映画の監督はウォッシャウスキー兄弟・・・だったのですが、どちらも性転換して現在はウォシャウスキー姉妹になりました。いろんな話が現実化した、この20年間に驚くばかり。