家づくり実践記(13):やっと完成

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日本消費者連盟関西グループ『草の根だより』(99/10月号所収)    

 年明け1月から始めた拙宅工事、やっと10月に完成。家を建てようと決めてから約1年半、楽しくも結構苦しい毎日でしたが、工務店や関連業者の熱意に支えられ、期待以上の出来上がりとなりました。

 拙宅の仕様をおおまかに振り返ってみると、1)光や風等の自然条件を最大限に生かし、冷暖房エネルギーにできるだけ頼らない、2)可能な限り有害物質を排除する、3)再利用できないような素材や建材は原則排除、4)脱塩ビ水道管、5)雨水利用いろいろ、6)脱塩ビ電線・・・・・等です。
 1)については、家の広い面を南に向け、庇を設け、南側の開口窓を大きく取ったり東西の通風路も確保し、家内の通風換気にもかなり気をつかいました。その上でソーラー発電やソーラー温水器を設置し、電気やガス使用量の削減。ソーラー温水器は10月でも晴天日で70度前後になるため風呂の水はガスを使わずに済ませています。ソーラー発電の方も8月中旬から開始していますが、既に 関西電力に約1万円分を売りました。自宅で電気を起こし自家利用できるというのは損得勘定を抜きに実に爽快です。
 2)については、危険なシロアリ薬剤やホルムアルデヒド含有建材を排除するとともに、使用素材・建材をひとつひとつチェックしながらの施工でした。有害物質に関して言えば、雑誌や他人の言い分があまりアテにならないことも痛感しました。3)については、鉱物ウール断熱材を使わず炭化コルクを採用したり、塩ビ系素材を極力使わないことをめざし、土、木材等再利用可能な建材中心に設計施工できました。
 4)に関しては、ポリエチレン管・架橋ポリエチレン管を使った給水管で設計施工。これで拙宅の水道水は塩ビ関係の有害物質に関して問題なしとなりました。5)に関しては2つの貯水方法を施工。雨水の大部分は風呂桶の排水とともに地下タンクに溜め、水洗便所用水に活用。一部は地上タンクに溜め、庭の水撒き等に活用しています。既に何回かの雨でタンクもいっぱいになっており、天水の恩恵を味わっています。6)の家屋内電気配線については、すべて非塩ビ無鉛のエコケーブルで施工しました。その他多くのアイデアや実験を含めて、なんとか完成した次第です。
 しかし、やりきれなかったことも多々あります。脱塩ビをめざしても排水管を塩ビ以外の素材に替えることは、耐久性を考えると現時点は技術的に無理でしたし、コスト上の問題で雨樋関係は塩ビ被覆鉄板となりました。また、電気配線をいくら非塩ビにしても電気機器のケーブルはほとんど塩ビですから話半分にしかなりません。ここらは今後の課題です。
 
 ところで、引越を頼んだヤマト運輸の作業員曰く、「新築の家への引越は目がチカチカしたり頭が痛くなるけど、この家はそんなことなかった」とのこと。有害物質排除の恩恵を受けたのは居住者や大工さんだけではなかったわけです。だいたい、健康を壊すような家ということ自体がおかしなことなんですがね。次回以降は紹介し切れなかった件について話をします。ご質問があればご遠慮なくお申し付け下さい。