(2018/01 版) FreeStyleリブレで分かったこと 

.Lowcarboあるいは糖質制限 FreeStyleリブレ SMBG

昨年来、本サイトの一番人気はアボットのFreeStyleリブレ関連の話題です。国内販売が始まって早一年、最近はテレビや雑誌で取り上げられることが増えたため、ネットでも調べようという人たちがここにも訪れているのでしょうか。私自身この1年間で10数個使ってきていろんな知見を得てきましたが、まだよくわからない点もあり、整理を兼ねて見解の最新版をまとめておくことにします。(2018年1月末時点版)

最終版はこちら ⇒ (2019/03 版) FreeStyleリブレ 一応のまとめ(暫定稿)

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FreeStyleリブレの良い所・良くないところ

アボット社のFreeStyleリブレは血糖値を連続的に測ってくれる装置です(注)。一般に自己血糖測定(以下、SMBG)では指先などを穿刺して血液を採って測定しますが、FreeStyleリブレは皮下の間質液から血糖値を連続的に読み取ります。そういう特性のせいか、データの正確さや精度にはまだまだな点は多いのですが連続的に血糖値を測ることができるため、とっても有用です。ざっと利点と欠点を挙げると以下の通りです。

FreeStyleリブレのプラス

・採血なしで手軽。
・連続的モニタできるためスポット的なSMBGではわからないことがわかる。
・夜間や食事中などSMBGでは対処しにくい時間帯でも測れる。
・とくに食中食後の血糖値がわかるため、ピークやアップダウンの様子がよくわかる。
・パソコンなどでデータの整理ができ、その集積が可能。

FreeStyleリブレのマイナス

・値が不安定。とくに初日から2日はダメ。
・夜間は低血糖気味になるなどデータの精度が怪しく正確性に欠ける。
・装着場所によってデータが変わることがある。
・測定原理や限界が非公開。
・値段が高め(毎日使うとすると年間20万円程度)

値段に関しては相対的なものですから、性能を考慮すれば割安だと考える人もいるでしょう。でも、現在の半分以下になるともっと手軽に購入できるのでアボット社や今後似たようものを出す競合メーカーにはがんばって欲しいものです。また、深夜の低血糖についてはある原因が浮かんでいますが、それは後日。

FreeStyleリブレで何がわかったか

さて、FreeStyleリブレでいったい何がわかるのか。24時間連続データがわかるという以外に、ざっと私の見解を整理すると次の通りです。

・糖質を摂ると血糖値は間違いなく上がる。
・血糖値の騰がり方は人それぞれ。
・血糖値は食事とは関係なく日中変動あり。
・ストレスでも血糖値は変動する。
・血糖値は食事時間やアルコール効果等に影響を受ける。
・その他

まず第一に糖質を摂ると確実に血糖値は上がることがわかります。脂質やたんぱく質ではそうはなりません。当たり前だという勿れ。糖質の摂食とは別の理由で血糖値の上昇が見えにくくなることがあり、ビールを飲んでも血糖値は上がらない等と奇妙な話に繋がることがあるから。正否はFreeStyleリブレのような機器を使って測ればすぐにわかります(一型糖尿病は別)。

次に、血糖値の上がり方は人それぞれです。たとえば、同じものを食べても私と連れ合いでは上がり方やピークが違います。ネットにある二型患者の実例を見ても人それぞれ。要するに、自分の血糖値の変動プロフィールは自身で測らない限りわからない、ということ。SMBGでもあらかた把握できますが、FreeStyleリブレではピークが把握でき、より明確になります。

3つ目。血糖値は摂食とは関係なくアップダウンします。食事を摂らずにFreeStyleリブレで血糖値を追跡してみて下さい。健常人ならいざ知らず、膵臓機能に問題がある者であれば起床したらヒョロヒョロと血糖値が上昇し、お昼前後にピークを打ち、夕方から夜間に向かってゆっくり低下していく様子がわかります。おそらく、日中には交感神経系と副交感神経系とのホルモンバランスのせめぎ合いがあるのでしょう。

私の場合(というか、ほとんどの人の場合)、血糖値が一番下がるのはだいたい明け方3時〜4時くらいで、その後じわじわ上がってきます。昔からドーン現象(暁現象)等と称して自由な(勝手な?)解釈をしてきましたが、米国糖尿病学会はこの現象をホルモンサージによるものだと見なしています

血糖値を測り始めた頃、私もこの現象に気づいて、その原因についてあれこれ悩みましたが、FreeStyleリブレでそのアップダウンが明確になり、そんなものかなぁ〜と理解できたため、ほとんど気にならなくなりました。

お医者さんらは血糖値を静的(static)なものとして定数的に捉える向きがありますが、実際は動的(Dynamic)で、食事とは関係なく日中に20〜30くらい動きます。だから糖質量の絶対値で食後ピークを予想しても、食前値が高くなっている朝や昼の場合予想よりも高くなるなどの問題が出てきます。このことに気づいている医者はどれほどいるのでしょうか。

4つ目。ストレスでも血糖値はかなり変動します。まず熱ストレス。温かい場所から急に寒い所に出ると一気に血糖値は上昇しますし、逆に熱めのお風呂に入るとこれまた血糖値は急上昇します。また、先日示したようにトイレで気張るとこれまた血糖値は急上昇しますし、睡眠不足や夏季の発汗も血糖値アップに繋がります

一過性の上がりはあまり気にする必要はありませんが、発汗や睡眠不足が原因なら血糖値のベースそのものを嵩上げしてしまうので、時間帯によっては食事の糖質量の判断に注意を要します。そのこともFreeStyleリブレで把握できました。

おそらく風邪を引いた時や海外旅行時の時差関係で血糖値のコントールがうまくいかない理由も上記ストレスによる血糖値上昇と同根です。つまり、血糖値のコントロールは食事の糖質量だけでは片付かない、そのことをFreeStyleリブレはしっかり教えてくれました。

5つ目。私が何度か紹介しているように、血糖値の上がり方は食事時間やアルコール効果に影響を受けます。たとえば5分10分で食事を摂る場合と2〜3時間かけての食事では同じ糖質量でも様相は全く変わります。もし食事時間を長くとることができるなら血糖値の上がり方はそれほどでもありません。血糖値が動的(時間の関数)であることを理解すれば明らかですが、FreeStyleリブレで見事に確認できました。

またアルコールについてはビールのように一気に飲めば血糖値は急上昇しますが、ゆっくり飲めばそれほどでもありません。また肝機能を抑止することで血糖値を下げ気味にしてしまうので食後血糖値の上昇を気にする者にとっては福音です(笑)。また、よく行くレストランでの血糖値変動を把握できたのは僥倖でした。

FreeStyleリブレはとにかく面白い

厄介なのは、それら変動プロフィールは人それぞれ。血糖値の上がり方にはいろんなバリエーションがあることはSMBG(自己血糖測定)でもある程度掴めますが、連続的にどうなっているのかはFreeStyleリブレのような機器を使わないとよくわかりません。追々上記のことを実例で説明していきたいと考えています。

以上、起床時の血糖値がすぐに上昇してしまうことや、ストレスでも血糖値がアップダウンすること、あるいは食事の時間効果等についてもう1つ理由がわからず、数年間悩んでいた私でしたが、FreeStyleリブレのおかげである程度の説明がつくようになりました。そういう意味で、ホンマにFreeStyleリブレに感謝していますし、アボット社の株も買いたい気分です(爆)。まだまだいろんな気づきを与えてくれそうなので、とりあえず継続していくつもりです。

(注)FreeStyleリブレとはコイン状の測定器を上腕後ろ側に装着し、リーダー(読み取り装置)でデータを確認したり、パソコンに取り込んで記録や分析をすることができます。詳しく知りたい人はアボット社のサイトへどうぞ