断熱材の選択

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 私の家で使う断熱材は炭化コルクです。炭化コルクが如何なるものか、要するにワインのコルク栓に使うようなコルク樫を蒸し焼きにして固めたもので、自分自身のヤニで形成しちゃうので接着剤は使わず、木材樹液の香りそのものが防虫効果も醸し出すようです肝心の断熱性能はグラスウール並の0.038kcal/mh度cの優れ物。

    なぜ、この断熱材を選んだか。もともとグラスウールやロックウールは対象外でした。その理由は2つ。まず、発ガン性が疑われていること。国際ガン研究機関の発ガン性分類は2Bで、あの強烈なクロルデンなんかと同じカテゴリです。アスベストとは異なり、肺の中まで入り込まないので発ガンの危険性はほとんどない等と関連業界は主張しますが、気管支で止まった場合はどうなるのか、動物実験でも灰色と出ているものをどう評価するのか曖昧です。廃棄物になった時のことを考えると、現在のアスベスト問題の再現ともなりかねません。また、これら鉱物ウール系断熱材の形成剤としてホルムアルデヒド系接着剤が使われていることも知っておれば、ノンホルムアルデヒドなんかと宣伝している住宅メーカーが平気でグラスウールやロックウールを使っていのは滑稽だとわかります。また、壁体通気工法なんかを採用して床下や壁面の空気を室内に取り込んでいるような家では、もろホルムアルデヒド汚染を問題にしなければならなくなるはずですが、そんな話はほとんど聞こえてきません。さらにいえば、施工時に作業者に痒みや痛みを与えるだけでなく、鼻や口や目の中へ、いや体の中まで有害物質が入り込んでしまうのもイヤなものです。以上の理由で最初から検討枠にも入れませんでした。

 発泡樹脂系の断熱材はどうでしょうか。発泡ウレタン、発泡スチレン、発泡ポリエチレン等がありますが、ポリエチレンを除き有害性が否定できません。実際、スチレン系の断熱材で被害を受けた方の話も聞いていました。おまけに、この発泡目的で特定フロンを混入するのが厄介で、製造時だけでなく使用時にもフロンが気中に発散されてしまいます(発泡ポリエチレンは除く)。そうなんです、これら製品そのものがオゾン層破壊物質というわけ。こんなもの、私にはとても使えません。樹脂系で使えるものがあるとすれば、発泡ポリエチレン(商品名でサニーライト)だけではないでしょうか。しかし、木材をこれで覆ってしまうと木の呼吸を妨げてしまうため、これもパス。

 残った候補は天然ウール系断熱材と炭化コルク。スウェーデンで売られているというシープウール断熱材やニュージーランド産のものやらのカタログや製品を取り寄せて調べてみました。これら天然ウール系はその特性上、湿気に弱くカビが細菌がわく可能性が高いため、一般にホウ酸系の防かび剤を入れます。また、防かび剤を入れない製品では、境界に防湿シートを設置して水分が進入しないようにせよと説明していました。これでは通気性はゼロ。そういうわけで、これら断熱材もパス。

 炭化コルクはどうか。ここ数年来、安全な住宅づくりをめざす人たちの間で細々と広まってきている素材です。最初に述べたように断熱性能は十分、透湿性あり、接着形成剤を使っておらず、余計な化学物質は一切使用していない、ヤニ成分による防虫効果も期待できる、耐熱温度も110度とポリエチレンよりも高い等々、こちらの要望はほぼ満足しています。これしかありません。
 ということで、去年設計段階であれこれ悩んだ末、炭化コルクに決めました。値段が高いのが難点ですが、これもポリエチレン系断熱材のほぼ倍程度と運良く安く購入することができました(値段については別稿)。さて、あなたなら、どう考えますか。