電線ケーブルの選択

.EcoStyle

 住宅建材で脱塩ビを図ろうとしても電線ケーブルと水道管は無理、というのが長い間の『定説』でした。99年現在、どちらも状況は全く変わっています。水道給水管については既に説明した通りですが、電線についても非塩ビ製のものが既にマーケットに登場しています。これまた検討していくと、従来の塩ビ製電線には塩ビ以外の添加剤の問題があることもわかりました。

まず従来ケーブル、つまり現在使用されている電線のどこが問題か。ポリ塩化ビニルを被覆材に使っているため焼却時にダイオキシンやハロゲンガスの発生原因となります。おまけに不燃安定材として鉛などの重金属が用いられているため、これらも廃棄時に環境汚染の原因になります。ダイオキシンはともかく、鉛などの問題が今まで問題視されなかったのが不思議な位です。電線ケーブルは年間数千、数万トンオーダーで生産されているわけですから廃棄量も同等程度だと推察されます(回収再利用率は大口消費者のごく一部のみ)。これが焼却されていることを考えると気が重くなります*。
さて、脱塩ビをめざしたヨーロッパでは既に非塩ビ電線ケーブル(通称エコケーブル)が出回っていますので、拙宅では当初スイスからそれを購入しようと考えていました。いざ電線ケーブルを入手しようという段階になって(4月)、日本でもいくつかの企業から同等製品が出回り初めていることをケイテック(拙宅の電気工事担当会社)の西川課長から聞き、それなら国産品で購入しようということになりました。拙宅が入れたのは矢崎総業のエコロジーソフトケーブル。従来の電力ケーブルであるCV/CVT/VVF等に替わる製品です。塩ビの替わりに使っているのは難燃性のポリエチレンで、かつ鉛などの重金属を排除しています。矢崎総業以外にも、古河電工(エコエース:一部は4月末から出荷)、フジクラ(エコ電線・ケーブル)等がありますが、実際入手しようとすると値段も含めてまだまだの状況のようです。拙宅では電気工事担当業者が公共工事関連を数多くこなしているため、比較的入手し易かったのかもしれません。

 気になるお値段ですが、従来のケーブルが異様に安いこともあり、CV代替品で約3割程度、VVF代替品で約3倍という価格設定がされています。戸建て工事の1軒分だけ入れようとしても量が限られるため、価格は余計に高くなってしまうかもしれません。ここらは建築設計士や工務店・電気工事担当会社がまとめて発注しないと現実味が薄いでしょうね。
 以上は強電用ケーブルの話で、弱電用の電線ケーブルについても非塩ビ商品が出てくることを強く期待したいものです。
 
*産廃焼却による問題をダイオキシンだけの問題かのように指摘する人たちが多く、マスコミ報道も悪ノリの観が否めません。重金属類やエアロゾル、NOx、SOx問題はいったいどこに消し去られてしまったのでしょうか。なんでもかんでもダイオキシンのせいにしてしまうと問題の本質をかなり歪めているような気がしてなりません。残念です。