POST-TRUTH

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素晴らしい本に出逢いました。マイケル・ルイスさんの『かくて行動経済学は生まれり』。ルイスさんの本はだいたい全部読んでいましたが、今回のもメチャクチャ面白い。でも今回紹介するのはこの本の後書きにあったある単語。

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本も非常に面白いんですが(本の話は後ろに少し)、今回私が紹介したいのは本の後書きにあっった、ある単語。その解説を書いたのは月刊誌『FACTA』主筆の阿部重夫さん。その単語とは昨年イギリスで流行語(オックスフォード辞書が発表)になったPOST-TRUTHです。

POST-TRUTHとは何か。そのまま訳せば「ポスト真実」ですが、これではピンときません。訳した阿部さんも云うように、日本語として理解するには難しいからです。

そんな単語がなぜ英国で一番人気だったのか。それは昨年起きた英国のEU離脱の国民投票や米国のトランプ大統領誕生が「予想もつかない結果」だったことから、その状況を説明する言葉として幅広く使われたかららしい。

オッスフォード辞書によると言葉の意味は次の通り。

言葉通りにいえば、「客観的事実が感情や個人的信念への訴求よりも軽視される状況」のこと。ウソホントが入り乱れるネット社会ではデモクラシーもその流砂現象から逃れられない、そんな衆愚政治の環境を示すのが、このPOST-TRUTHという新語なのだ、とは阿部さんの弁。

阿部さんの解説で一番興味を惹いたのは、EU離脱やトランプ登場の背後には「ケンブリッジ・アナリティカ」という人心操縦の黒幕企業がいたこと、そのことは英国のガーディアン等で報じられていたという下りです(私は見落としていました)。要するに、七面鳥操作を専門にする企業がいたということ。

戦争したいしたい人たちとそれに連動するNHK等の大メディアの動きを見ているとイヤな気分になる昨今ですが、日本でもPOST-TRUTHを狙ってくる連中の手中には決して陥らないように要注意。そんなことを改めて考えさせられました。

それにしても、発音がポス・チュリースにしか聴こえないのは私だけ(苦笑)。

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マイケル・ルイス著 『かくて行動経済学は生まれり』

かくて行動経済学は生まれり

マイケル・ルイスといえば元ソロモンブラザーズ。その時の体験談を書いた『ライアーズ・ポーカー』でデビューしましたが、ブラット・ピット主演で映画になった『マネー・ボール』が彼の著作だといえば、少しは親近感が出てくるでしょうか。もともと経済金融関係に強く、『ブーメラン』や『世紀の空売り』、あるいは『フラッシュ・ボーイズ』等とブランニューな話題を追求していますので目が離せません。

今年出版された『かくて行動経済学は生まれり』は行動経済学の発端や黎明期の話がびっしり。他書と違うのは、関係者の人間性に言及することで関連知識を全く異なる方面からわかりやすく解説していること。書き手の巧みな取材と秀逸な筋立てが素晴らしい(羨ましい)。認識の錯覚について深く理解できる手助けとなることでしょう。お薦め。