顔認識と七面鳥

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Appleが新しいiPhone 8/8plus及びiPhone Xを発表。最初のiPhoneから数えて早10年。テックメディアだけでなく某国営放送でも朝のトップニュースになるほどでした。ただ、気になったのは顔認証(Face ID)。これって新手の七面鳥収穫用の技術じゃないですか。

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七面鳥とは何か。欧米では七面鳥を焼いて感謝祭やクリスマスに供しますが、そのターキーのこと。七面鳥はその日が来るまで充分にエサを与えられるため、自分は大切にされている・エサは毎日もらえるものだと考えるんですが、感謝祭の直前になって思ってもいなかった運命が降りかかり、それまでの信念は簡単に覆されてしまう、という話。

この原典はバートランド・ラッセルらしい。彼が喩え話で使ったのは鶏(鶉?)でしたが、七面鳥に置き換えたのは先日取り上げたタレブさん (タレブ「強さと脆さ」ダイヤモンド社 2010)。日本でいえば、七面鳥よりカモという方がわかりやすいかもしれません。

これがなぜ新型iPhoneの顔認証と関係するのか。従来の指紋認証でもヤバイのですが(注)、顔認証はその影響が比べものにならないくらいに大だから・・・。わかりにくい? よいしょメディアは良い面を強調し、悪い話・厄介な話は進んでしないので尚更です。

じゃSNSのFacebookを考えてみましょうか。Facebookはもの凄い利益を叩き出してお金儲けをしています。でも使うのはタダ。いったい何が収入源なのか、知らないならあなたは七面鳥、あるいはカモです(きっぱり)。

答をいえば、Facebookの収入源は利用者のデータ。つまり儲けの源泉はアナタなのです。つまり、Facebookは利用者の年齢、性別、交友関係そして話題にされる購買記録等々をデータとして抜き取り、そのデータを欲しがる誰かに販売することによって膨大な利益を産み出しているのです。


Facebookだけではありません。LINEも同じ。こちらは本拠地の韓国でデータの乱用が話題になっています。一方、Twitterは抜き取りがマズイため未だ儲けが出せないのが愛敬ですが、タダより高いものはないという賢人の教えを多くの人が忘れています(私はSNSに近寄りたくありません)。

現在のSNSでは匿名・偽名・なりすましの入り込む余地が大きいため、本人特定はまだ不十分。ところが、今回のような顔認証はこの特定作業を高次元に進めてしまいます。SNSで得られる個人情報はさらに価値が増すというわけ。

さらに厄介なことに、最近町中に設置されている監視カメラの画像と統合されれば、もっと良からぬ結果を生み出すことでしょう(逆に権力者等にとっては好ましい)。

それでもいいじゃないか、個人データが外に出て何か不都合なことがあるのかという意見も聞きますが、有用だから便利だからという理由で自ら七面鳥の人生を選んでいる人たちに私は何もいう気はありません。でも、知らずにいたならどうでしょうか。

いずれにしても、この先進技術が誰かに悪用されないと考えるのはきわめてナイーブ(愚かという意味です、念のため)。技術の進歩に伴う危険性はある程度仕方ないとしても、警戒心を怠ればとんでもない乱用悪用に繋がってしまうでしょう。私が朝から嫌な気分になったのはそういうことでした。

一方で、米国国家が世界の個人情報を抜き取っていることを世界に知らしめた、あのスノーデンさんはしっかり「顔認証は悪用されるだろう」と指摘していたのが流石で、まともな意見に少し安心しました。

もう一言。
私たちはもう既に七面鳥なんだから、新型iPhoneを買おうが買うまいが関係ないでしょうって思うあなたへ。顔認証の活用で個体の特定がより正確かつ簡単になるため、ピンポイントで「収穫」される危険性が高くなります。だから、新iPhoneを手に入れても顔認証はオフにしておくのが無難です。

(注)これを書いている時、東京新聞に「ピース写真 指紋流出恐れ SNSへの投稿 注意を」という記事が出ていました。ピース写真で指紋抜き取りが出来るなんて、ホンマかいな〜ですが、セキュリティ問題って深刻ですね。