3つ目のFreeStyleリブレ その1

.Lowcarboあるいは糖質制限 FreeStyleリブレ SMBG

3つ目のFreeStyleリブレ・アプリケーターが終了。実際は4つ目ですが、3つ目がコケてしまい交換品に替えたので実質的には3つ目。これで2週間x3の血糖値変動データが手に入り、日常的な食事やときどきの外食で食後血糖値がどうなるか、だいたい掴めてきました。でも、まだまだ知りたいこと多々。今後もお世話になりそうです。

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繰り返しますが、FreeStyleリブレの初期データはなかなか安定しません。その理由について現段階では起動時の環境条件が大いに関係している、と私は考えています(私見です、念のため)。でも、アボット社の技術情報でもそのことが窺えます(後に挙げるアボット社のグラフ参照)。

まず簡単にこの機器の測定方法を復習しておくと、FreeStyleリブレは皮下穿刺によって細胞間質液のグルコースをサンプルして血糖値を測ります(以下2つの図はアボット社の技術資料)。

(図はアボット社の技術資料から)

静脈血や指先穿刺によるリアルな血液からの測定とは違いますから、データについてはそれなりに配慮しなければなりません。また、このFreeStyleリブレは血液をサンプルにしないだけでなく従来のSMBGで一般的に使われる酵素反応も使わず、10数年前に開発されたWired Enzymeテクノロジーという方法を採用しています(注1)。

アボット社はこの酵素を使わない方法によって「キャリブレーションを行う必要がない」と説明していますが、その代わりに起動時やその後の測定に際し何かデータの調整をしているのではないでしょうか。

というのも、アボット社自身が公表している相対的差異というグラフをみると1日目が一番怪しく、その後だんだん10%前後に安定していくからです。この辺のメカニズムはアボット社がきちんと情報公開しない限り不明です。

(上図は先のアボット社資料に掲載されています)

要するにFreeStyleリブレの1日目データの信頼性が低いということは公認です。この特性は血糖値のデータの大小が命に関わるような人たちは要注意。

また、キャリブレーション不要といいつつ相対誤差が10%もあるわけですから、FreeStyleリブレだけで血糖値を把握するのは問題ありでしょう。この問題に対処するためにはSMBGで自分の血糖値を測定して、どれくらいのバラツキがあるのかチェックしておかねばなりません。

ということで、今回3つ目のFreeStyleリブレと手持ちのSMBG機器とを比較したのが下のグラフです(SMBGはAccu_Chek STとTRUEPico)。測っている時にはリブレが少し低めかなぁ、SMBGの方が10%程度高めにでるなぁという印象でしたが、グラフで見てみるとリブレが高めになっているデータも散見し、アボット社が提示している相対誤差10%程度といえばそう云えないこともありません。

リブレのデータが高いか低いか。それはSMBG機器のデータの精度や信頼性にも関わる問題ですし、先日来指摘してきたように起動時の条件にも影響を受けるため、FreeStyleリブレで表示される血糖値をそのまま鵜呑みにすることはできず、ときどきSMBGで採血血糖値と比較しておくことが必要になるということを忘れてはなりません。(注2)

さてさて前振りが長くなりましたが、私の3つ目のリブレのデータを紹介していきましょう。まずは変動概要は以下の通り(2017/6/14 〜 6/27の血糖値の概要)。

自分で云うのも何ですが、今回は良好な結果になりました。朝食や昼食の食後血糖値のピークは160位で止まっており、数回とった外食では糖質量50gを軽く超えていても(時間をかけて食べたおかげで)血糖値が140を超えることはありませんでした。

なんだ、普通の人の血糖値じゃないかと思われるかもしれませんが、それは糖質を1日50gとか60gに抑えているからであって、専門医や栄養士さんらが薦める糖質たっぷりな食事を摂ると軽く200を超えてしまいます(そんな食事は恐ろしくてできません、念のため)。

ただし、先ほど書いたように今回のリブレはSMBGよりも10%ほど低めですから、その分嵩上げして見ておかねばなりません(苦笑)。それを考慮しても最大180くらいです。まぁ過去2回のリブレで何をどくれくらい食べたらヤバイことになるのか、少しは学習できたというところです。

二型糖尿病なら食べた糖質量の3倍(絶対値)くらい血糖値が上がる、ピークは1時間後等々というのが通り相場ですが、連続測定をすると必ずしもそうはなりません。なぜかといえば、糖質の内容によって消化時間が異なることと、食べる時間の長さによって血糖値の上昇変動が変わってくるからでしょう。そのことは連続測定を行えばよくわかります。

FreeStyleリブレによる連続測定の効用はいろいろです。紋切り型の話があなたに当て嵌まるかどうか、疑ってかかりましょう。そんなこんなで、なかなか興味は尽きず、まだまだ手放せません。

(注1)先日AppleCEOのティム・クックさんがAppleWatchを使って血糖値のモニターをしていることが報じられていました。どうやらDexCom社の製品をセンサーに使っているようですが、あちらは酵素反応で測定するタイプなので適時キャリブレーション必要。
(注2)蛇足ながら、ニプロのTruePicoは(私の数年の経験では)高温多湿の夏場には少し高めになる傾向あり。同じニプロのUS版True2goは冬場に高め。使用酵素が違うことで日本版と米国版で温度特性が違うみたい。