ゲスな官邸

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先日、加計問題で官房長官の説明がデタラメなのを東京新聞の記者が追及しました。すると官邸側はあろうことか、追及した記者の身辺調査を警察組織に命じたとのこと(出典は「週刊新潮」2017年6月22日号 )。自らのウソやデタラメを隠蔽するためでしょうが、こういうやり口は恥ずかしくないのか。総理や官房長官の顔や所作を見ていると恥も外聞もなさそうなのがこの国の民としてはきわめて残念。

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嘘の見抜き方 (新潮新書)

官邸側や官房長官が平気でウソをつくのは今に始まったことではありません。国や役人は決してウソをつかないと考えるウブな人は世間にいないでしょうが、むしろ官房長官がウソをつくのはある意味で仕事のようなものと考えた方がいい。そのことを指摘した本を以前本サイトで紹介したことがありました。

右の本を書いた元特捜検事の若狭さんによると、現行の法律では国益のために国がウソをつくのは問題ないとのこと。自前の解釈で自衛隊を海外出兵させるような安倍政権のことですから、自分に都合の良い国益解釈はお手のモノ。森友学園や加計学園を巡る官房長官の話はまさにその実践例です。(ちなみに若狭氏は今話題の小池東京都知事の肩を持って自民党を飛び出した人物)

厄介なことに権力側は単にウソをつくだけに留まりません。国に楯突いた者に対し(正当な批判であろうとなかろうと)、その「告発」を薄めたり、なかったことにしようと画策します。具体的にはその人物の身辺調査を行い、お抱えメディアを通じてあることないこと発表し、告発者がイイカゲンでダメ人間であるかような「印象操作」を行うのが常套手段になっています。

今回の加計学園の問題についても、元文科省事務次官の前川氏が「告発」しようとしたら「彼は援交を繰り返す問題人物」だと読売新聞に流させました。この件、話が全く違って新宿で家出少女の話を聞いていただけだったことが既に判明していますが、ウラもとらずに官邸の言い分を書いた読売新聞は官邸側のグル。

私が役人をやっていた頃を思い出せば、人事当局は労働組合幹部の身辺データを定期的に警察から仕入れていました。息子や娘が警察に補導されたり何か厄介な事件に関与したという情報を得ると、それをネタに脅す、あるいは懐柔するというのが目的でしょう。エゲツないですな。

こういうやり方は国や地方にかかわらず、日本の役所ではごくごく普通。思うに、こういうのを世間ではゲスというのです(きっぱり)。読売新聞やNHKしか見ない人は本当の話から遠ざけられているのです。東京新聞の記者はもとより前川さんがゲスな圧力に屈しないことを願う次第です。