家づくり実践記(5):電磁場にご用心 !

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日本消費者連盟関西グループ『草の根だより』(99/01月号所収)

住宅環境の安全性について、日本ではやっとホルムアルデヒドが話題になりはじめた位ですが、ヨーロッパや米国ではたくさんの危険性が問題にされています。電磁場もそのひとつ。


まず、ホンマに電磁場は怖いの?とおっしゃる方のために。残念ながら、この議論にはまだ決着がついていません。超低周波の影響で細胞内のカルシウムが異常に溶け出してくることは明らかになっていますが、小児白血病との関係を疫学調査で指摘している学者の見解は未だ仮説の段階だと慎重です。電力会社はその辺りを突いて危険性を否定しています。

しかし、ちょっと考えてみて下さい。危険性があるかどうか見解が分かれているものに対してどうしたらよいのか、それは消費者が決める問題です。未決着の問題を『安全』と主張するのは電力会社とその取り巻きに任せておくとして、『念のために回避』するのも十分に根拠のある判断だと私は考えます。

ということで、自宅設計が一段落した昨年末、一応電磁場対策もチェックしておこうとマイクロ波と超低周波磁場の簡易測定器を購入。家の中だけでなく、出かけるときも忘れずに測定器を携帯して測りまくってみました。
予想を遥かに越える結果に唖然!TV、冷蔵庫、電子レンジ、オーブントースターは、直近10cm位置で20、30ミリガウスを越え、50cm離れても10ミリガウス程度で、まるで高圧電線直下みたいなもの。デロンギのオイルヒーターも使用電流が大きいせいで電線コードから数十ミリガウスの磁場が発生していました。コンピューターのディスプレイもひどい。ただ幸いなことに、これらの磁場は1mも離れると十分に減衰しますし、長時間晒されることがなければ大丈夫です。スウェーデン等では超低周波磁場で2、3ミリガウス以上を問題としていますので、私たち自身が家電製品それぞれの特性や磁場発生状況を一度掴んで、十分に家電製品との距離をおけば今のところ問題なしと言ってもよいはず。例外はドライヤーやヒゲソリで、私は電気ヒゲソリをきっぱりやめました。
話はまだ続きます。最近は住宅電化が進み、使用機器の増加、高電流高電圧によって家の中の電気配線から問題のある電磁場が常時出てくる危険性がどんどん大きくなっています。スイス等では、家電機器は寝室内からなるべく排除しなさいとか、ベッドの上に電気配線してはダメとか既に電磁場に対する処方箋がいろいろ出ているとか。ヨーロッパではエコケーブルというアース線つきの特殊な電線も出回っていますが、日本では探しても見つかりません。
さらに言えば、家の外の配電線や送電線にはもっと要注意。これらは常時危険な電磁場を発生させています。寝室の窓の外近くに送電線があったとしたら、寝室の位置を替えるのが得策では?また、金属製の水道管やガス管にも電流が乗っており、当然電磁場が発生するので要注意です。
あれやこれやいろいろありますが、身の回りの電気製品を一度見渡してみてはどうでしょうか?とくに、これから家を手に入れようという方は、高圧電線や配電線の近くは避けた方が無難だし、家電製品の配置や使用方法と生活空間との兼ね合いも一度しっかり考えた方がいいかもしれません。