シドニー水道・病原虫汚染、未だ終結せず

Water

  98年夏シドニーを襲った病原虫事件の「その後」に関して。9月時点における州衛生当局の発表では、クリプトスポリジウムやジアーディアによる感染症の増加はないが未だ予断は許さないとのことでした。その後際立って被害を伝える報告はマスコミ関係からも出ておりませんので、まずは安心という状況でしょうか。

  しかし、暮れの12月18日付けシドニー水道の公式発表によると、未だにクリプトスポリジウムやジアーディアの問題が完全解決ではないことを伺わせます。この問題、7月以来もう半年あまりも継続しているわけですから、シドニー市民の水道水への不信感は諦めにも似たようなものになっているかもしれません。原因や当局の責任についてのケジメがどうなるのか個人的には興味津々ですが、鳴り物入りで行っていた独立調査官チームによる報告書ももうひとつ事件の深層に突っ込んでいないような感じがします(この内容は当局サイドからは公表されていない)。

  9月時点で発表された水源地域の下水処理計画の改善案は、病原生物の発生源について当局がなんらかの見解を得ていることを示唆しますが、詳しいことは不明。また、シドニー水道では秋からずっと水道配管の洗管することによって残留している有害微生物の洗い出しを行っています。その際に行っている水質試験の結果のうち、12月9日分では某系統で未だにクリプトスポリジウムとジアーディアの存在が明らかになりました。当局の説明は曖昧模糊で、12月9日の試験結果では感染力がないらしいといいつつ、現段階の試験では問題生物が生きているのかどうかも感染性がないかどうかも明確ではないとするあたり、いったいどっちやねんと突っ込まれても仕方がない。いったい、この問題、いつになったら終結宣言が出るのでしょうか。

 ところで、今回のシドニー事件をみていて感じることは、水質試験結果をインターネット等できちんと公開していること、クリプトスポリジウムやジアーディアのような病原性微生物の対策を水源地域の下水処理から考えていこうという姿勢が、当たり前のことながら日本とは違うなぁということでしょうか。たとえば、大阪北部の某簡易水道でクリプトスポリジウムが検出されましたが、水源を替えて事無きを得たかのように黙り込んでいるのが日本の行政機関の姿勢だし、下水処理水の分析結果も一切公表せず、水道の処理だけで何とか乗り切ろうというのでは本質的な問題解決はおぼつかない。少なくとも、シドニーやミルウォーキーのような水質情報の公開の仕組みや手法をきちんと身につけて下さいませんかねぇ?>日本の水道関係者殿。