糖尿病性網膜症で失明する人が毎年3000人

.Books&DVD… .Lowcarboあるいは糖質制限

糖尿病で毎年3000人が失明すると聞いてびっくりしますか? それとも、なんだその程度かと思うだけ? 私はびっくりした方です。原因は糖尿病性網膜症。自覚症状がないため気づいた時には既に遅しという話のようです。糖尿病の専門医に任せていたら失明者続出という状況の中、ある眼科医が糖質制限をすれば改善できることに気づきました。それを紹介したのが眼科医・深作秀春さんの「視力を失わない生き方」(光文社新書)。

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糖尿病性網膜症という疾病をご存じでしょうか。何らかの原因で血糖値のコントロールがうまくいかなくなると目の網膜にある微細な血管が傷つけられ、出血して網膜剥離をきたすというもので、成人の失明原因の第一位になっています(出典はこちら)。

この病気は自覚症状がないため糖尿病の患者のみならず、もどき(境界型)や隠れ(食後高血糖のある人)にとっても面倒で、見えにくくなって眼科に駆け込んでも治療ができず失明することが多いようです。その数なんと毎年3000人! 最初にこの数字を見た時私はびっくりしましたが、皆さんはどうでしょうか。

視力を失わない生き方 日本の眼科医療は間違いだらけ (光文社新書)この網膜症について、右に掲げた深作秀春さんの本に興味深い話が出ていました。医学部時代の同級生が受診してきた。その同級生は糖尿病の専門医。自らが糖尿病になったため、日本糖尿病学会が推奨する糖尿病治療を自らに施したところ、網膜症を起こしてしまったというのです。

その同級生はある時に糖質制限のことを知り食事を変えたところ、血糖値のコントロールは何とか改善したが既に遅し。網膜症は重症で日本の大学病院では手術もできないという状況になっていたらしい。でも、同級生が最新式術式ができると聞きつけ深作氏の医院にやってきたのでした。

深作医師は「小切開硝子体手術」を行い、幸い網膜も復位して患者の視力が回復したとのこと。その時、その同級生から江部医師の糖質制限に関する書籍をもらって、読んでみると目からウロコ。糖尿病専門医に任せていたら失明が増えることを日頃から問題視していた深作さんは、糖質制限こそ解決の糸口だと気づいたというわけです。

なぜ糖尿病専門医に頼ったら失明してしまうのか。専門医はインスリンや薬剤で血糖値を下げようとします。これは当然の対応です。でも、専門医は血糖値が下がったら治療はうまくいったと考えてしまうが、薬に頼ると日常的に「血糖値のジェットコースター」状況、つまり激しいアップダウンがおきて血管が傷つけられてしまう。深作さん曰く、「皮肉なことに内科の治療によって、糖尿病性網膜症は悪化させられている可能性が高い」と喝破しています。

要するに、糖尿病専門医は網膜症を作り出す手伝いをしているようなもの。これでは救われません。なぜ糖尿病学会はその実態を見ようとしないのか。学会標準の治療がなぜ患者を深刻な状況に陥れていることを理解しようとしないのか。まさか糖尿病患者の病状がひどくなって透析したり失明したり手足を切断することで医者の仕事が回るなんてことは望んでいないでしょうが、根拠のない「カロリー制限」を後生大事にし、世界標準になりつつある糖質制限を異様に否定する姿勢には何らかの意図を感じてしまいます。

ちなみに私が糖質制限に取り組もうと思ったきっかけの1つが失明への恐怖でした。糖尿病気味だった母(故人)が目の見えにくいことをしきりにボヤいていたのをよく覚えていたからです。とにかく失明したくなければ深作さんの著書を是非ご一読下さることを強くお薦めします。