SMBG 6: 温度特性その2

.Lowcarboあるいは糖質制限 SMBG

寒くなると血糖値計のデータがおかしくなるのは、計器やセンサーの特性で低温時にはきちんと測れないからです。標準液の測定でその奇妙さを示しましたが、検査業務に携わる人たちには既に常識であることもお伝えしました。ついでですから、今度は私自身の血糖値で見てみましょう。提示するのは昨年後半からの私の早朝血糖値。また「藤吉郎方式」の効果についても触れておきましょう。

・・・

血糖値の測定は10℃から40℃の温度環境で測って下さい。これが血糖値計メーカーの言い分です。血液を酵素で反応させ対象物質の変化を電気的に計測し、それを血糖値に換算するという分析原理上、低い温度や高温では正確さが保証できないというわけです。

でも10℃付近では数値が出てきてもアテにならない、つまり信頼できるデータとはなり得ないのではないか、という疑いが出てきたので標準液を使って調べたところ、快適な室内環境つまり20℃前後の温度環境で測る方が良い、ということがわかってきました。

私のデータでも示しておきましょう。下図は昨年9月から昨日2月1日までの早朝血糖値です。9月10月くらいは高々90ちょいまでだった血糖値が10月末くらいから上がり始め、110を超える日も出てきました。ざっと見て平均値が10くらいは上な感じです。

この血糖値、さらに年末にから今年になって上昇してきました。毎日の食事は糖質制限で変わらずですから血糖値が上がる理由は食事内容ではありません。何か健康に問題が出てきたのか、こりゃヤバイなぁと心配になってきました。でも、もし早朝に110を超えていたら食後はもっと上がるので、HbA1cは6%をゆうに超えるはずですがそうでもありません(この間、5.6〜5.8)。おかしいなぁ。

早朝に血糖値が上がるという「暁現象」について文献漁りもやってみましたが、生理学的には確定的な話はなさそうだなぁと思っていた矢先、「E-1エラー」が出たことから一気に低温時の問題に行き着いたという次第です。

病院や検査機関では空調が効いているので問題にはならないはずの温度環境が個人宅や屋外ではそういうわけにはいきません。たとえば拙宅では冬季でも16℃~18℃の温度設定ですし、夜間の暖房を切ってしまうと早朝には12、3℃になっていることはザラ。10℃以下も今年は何度かありました。

どうしたらいいのか。そこで考え出したのが先にお伝えした「藤吉郎方式」。上図の右側に背景を黄色にした部分がありますが(1月18日以降)、それがこの方法を採用した測定です。具体的には目覚めた後しばらく胸元ポケットに計器を入れ体温で温め、計器とセンサーが20℃前後になったことを確認してから測るようにしたもの。すると、見事に9月10月あたりのデータと同じような感じになってきました。

TRUEPicoとTRUE2go、日本版とUS版でどちらもいっしょ。ただし、センサーの測定酵素は違います。
赤い光の点は非接触型温度計の赤外線。

食事を変えたわけではないので、これなら納得。上図の血糖値の上昇は気温の低下に伴う測定の不正確さを反映していただけのようです。いやはやお騒がせな話でしたが、わかってしまえば簡単なことで心配していた自分自身を笑ってしまいます。私の経験は多くの人にも該当すると考えられますので、私のように頭悩ますことのなきよう、ご注意下さい。