SMBG 3: 測定時の温度にご用心

.Lowcarboあるいは糖質制限 SMBG

先日血糖値計のE-1エラーについて投稿しました。そこで記した通り、低い温度の時には測定がうまくいかないことがわかりましたが、もう少し温度条件を明確にしておきたいと考え、実験してみました。使うのは標準液。つまり、測るモノが共通で温度条件だけ変えてやると測定値はどうなるか、それを見れば低温時の測定についての実態が浮かび上がってくるはずです。結果は・・・

・・・

測定は1月22日(日曜日)。血糖値計はニプロのTRUE2go(日本ではTRUEpicoの名称で売られています)。測定に使ったのはニプロのGluコントロール液(TRUEセンサー用)です。

まず低温環境に測定器を置き、いったんE-1エラー表示を出し、それを暖かい処に移し測定器とセンサー双方の温度が上がるように配慮しました。そして温度が馴染んだところで、12℃、14℃、16℃、20℃について測定をしました。なお、それぞれの測定には30分から1時間超の時間を空けています。


結果は以下の通り。

思った通りでした。14℃から16℃以上ではだいたい安定していますが、12℃ではちょっと高い値となっています。サンプルは標準液だからどれも同じ値になるはずですが、その差10以上。低温時に何か変。これは厄介ですね〜。

測定誤差もあるため、たった1回きりの測定で云々するのは何ですが、この結果は日頃の経験と一致します。一方、ニプロの標準液は15℃~40℃での測定を推奨しており、15℃以下では数値が安定しないことを示唆しています。それを合わせて考えると、(少なくともニプロのTRUE2goやTRUEpicoでの)血糖値の測定では15℃以上が望ましく、それ以下は不確かで信用に値しないと考えていいでしょう。

(追記)この図の20℃のデータは気温であり、測定器の温度ではありません。別稿で触れるように本来は測定器の温度で評価すべきでした。

さて、先日来のE-1エラーを受けてのこちらの対応は次の通り。朝起きたらシャツ等のポケットに測定器(とセンサー)を入れ、体温で充分に温めた後、15℃以上の室温環境で測定するのです。これを拙宅では藤吉郎方式と称していますが、それは秀吉が信長の草履を胸元で温めた故事に因んだものです(笑)。

その結果、早朝時に100を超えていた血糖値がここ数日80〜90ちょっと位になりました。この20の違いはデカイ。今まで早朝時の血糖値が異様に高い時には前の晩の食事を思い起こしたり、あるいは暁現象を疑ったりしてきましたが、どうやら低温時の測定がうまくいっていなかったののが大きな原因だったかもしれません。少し安心。

なんやかんやで血糖値の測定は低い温度では信頼できません。SMBG(自己血糖測定)の皆さんへ、測定時は15℃以上の環境で臨みましょう。室内温度が安定しないなら上記の藤吉郎方式でも使ってみて下さい。決して不安定な測定値に心惑わされないように願っています。

追加記事あり: SMBG(自己血糖測定) 藤吉郎方式 ;さらに検討を重ねました。
(注記)
なおこの試験は血糖値計はTRUE2goでなされたものであり、これは国内で販売されているTRUEpicoと同一のものみたいですが、センサーで採用されている測定原理は米国版がGDH-PQQ、国内版はFAD-GDHで異なります。この2つの測定は原理上、キシロースやマルチトースを摂食している場合には多少相異なるものになるかもしれません、それよりも問題なのは、この2方式の温度特性の違い。きちんと確かめたわけではありませんが、私の経験では30℃以上の温度の高い時期には国内版は米国版よりも血糖値がかなり高くなるみたい。ご用心。