ハドソン川の奇跡、原題は Sully

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これまた先月観た映画の話。夫婦で「ハドソン川の奇跡」を観ました。私にとっては今年最高の映画かも。ご存じの通り、2009年バードストライクによるエンジン停止でNYのハドソン川へ着水を余儀なくされた、あの飛行機事故を取り上げた実話です。監督はクリント・イーストウッド、主演はトム・ハンクス、助演にローラ・リニーやアーロン・エッカートなどという布陣ですから文句なしですが、訴える内容もホンマに素晴らしいものでした。

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昨年辺りからUSの映画サイトで予告編が流れていたので日本に来たら是非観に行こうと思っていた映画が、今回取り上げる「ハドソン川の奇跡」。ただ、原題は『Sully』です。なぜとかいえば、機長はサレンバーガーさんなんですがミドルネームがサリーだから・・・と思いきや、これはダブルミーニング。英語でsullyとは「傷つける、貶める」ということで、この意味するところは映画を観た人ならよくわかるはずです。英語タイトルを見たとき最初に気付かなかったのは個人的には迂闊でした(苦笑)。

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事故発生で前代未聞のハドソン川着水。そして乗客全員の命を救った機長。そのままではヒーロー話になりそうなところなのに事故の後何が起きたのか、なぜ事故調査委員会は機長の責任を問おうとしたのか。最後の最後で機長が調査委員会に問いかける下りは圧巻です。興味のある方は是非ご鑑賞下さい。

それにしても着水前乗客にCAさんが発するかけ声が恰好いい。「ブレイス、ブレイス、ブレイス、ヘッダウン、ステイダウン」(身構えてx3、頭を下げて、席を立たないで)というものですが、映画で何度も聴いていると米国ってやっぱり軍事国家だなぁ、日本の航空会社ではいったいどんなかけ声をかけるんだろうと思うことしきり。できたら、映画の中のかけ声シーンを日本語なしでご覧下さい

そういえば、以前この事故について某航空の機長さんと話を交わしたことがありました。あの時、その機長さんは「(あの緊急着水は)パイロットなら誰でもできるんです」ときっぱり。えらく自信たっぷりだったのですが、この映画の後半を観てしまうと随分話は変わってきます。つまり、できることとそれを実行することとは全く違う、判断のタイミングがまず第一というサリー機長の言い分を、もう一度彼に会う機会があったら聞いてみたいものです。