グラーシュとシュニッツェル オーストリア旅行その12

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さてさて旅行の締めくくりは食の話でいきましょう。
オーストリアの典型的な食事として、私が思いつくのはグラーシュシュニッツェル。クラシックなメニューでいえば、ターフェルシュピッツとかプファンドルやチロルのクヌーデルもありますが、どこで食べても外れのないのはやっぱりグラーシュとシュニッツェル(私見です、念のため)。

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最近の為替が円安ユーロ高なせいもあるのでしょうが、オーストリアの物価は少し高めに感じます。地元スーパーなどの商店が土曜日午後から日曜日丸1日お休みになるので、500ccのミネラルウォーターをカフェで購入したのですが、珈琲と同じくらいの値段で割高でした(€2.5前後、350円)。地元スーパーでは€1弱だったので3倍近くの値付けです。

総じて食事代も高めです。何か食べようとすると一皿€10〜はしますから(1400円〜)、2皿3皿注文し飲み物の代金と合わせると高くつきます。

スワロフスキークリスタルワールドのレストランの一皿目

スワロフスキークリスタルワールドのレストランの一皿目

そんな中、安くて美味しい特筆モノがグラーシュズッペ。ハンガリー風ビーフスープ(シチュー)のことですが、香辛料にパプリカ、キャラウェイ、マジョラムを使うところが普通のビーフシチューとの違いです。スープにタマネギ、ニンジン、ポテトの刻んだものが入っているものもあります。庶民的なお店なら€3~5程度で食べられますし、パンを一緒に食べたらお腹もいっぱいになります。

インスブルックのスティフスケラーにて

インスブルックのスティフスケラーにて

ちなみに、ハンガリー風という呼称はオーストリアのハプスブルク家が支配していたオーストリア・ハンガリー帝国の歴史を背負っているのでしょう。ドイツ語圏では多くのレストランにあるメニューのようですが、ドイツとオーストリアでは味がかなり違っていて、後者の方が繊細で美味しいような気がします(私見)。

30年前に初めてグラーシュズッペを食べてめっちゃ気に入ってしまい、行く先々で注文した懐かしの味です。今回も同じく何回も注文し、忘れかけていた微妙な味付けを舌にしっかり覚えさせ帰国後自宅で再現しています(爆)。

ビーフグラーシュは牛肉ごろごろ、値段はその分高い。付け合わせは肉とパンを成形したソーセージ風クヌーデル

ビーフグラーシュは牛肉ごろごろ、値段はその分高い。付け合わせは肉とパンを成形したソーセージ風クヌーデル

第一次大戦で解体されたオーストリア・ハンガリー帝国やハプスブルク家の衰亡、そして第二次世界大戦時のナチスとの関係、連合国による領土の分割、その後の統治から国家的独立を勝ち取るまでの経緯、・・・そんな複雑な歴史とともに生き残ってきたグラーシュズッペ。お薦めです。

連れ合いイチ推しのグラーシュズッペ。シャーフベルク山頂レストランにて

連れ合いイチ推しのグラーシュズッペ。シャーフベルク山頂レストランにて

もう1つ。オーストリアのクラシックメニューの定番がシュニッツェルで、カツレツの一種。フランス語のコートレット(cotelette)が転じてカツレツとのことですが、ミラノ風カツレツやウィーナーシュニッツェルも同根です。

シャーフベルク山頂レストランのシュニッツェル

シャーフベルク山頂レストランのシュニッツェル

もともとウィーナーシュニッツェルは仔牛のヒレ肉を使ったものでしたが、最近ではブタやチキンやターキーを使ったものもあります。

インスブルックのアルペンズー横のレストランで出てきたシュニッツェル

インスブルックのアルペンズー横のレストランで出てきたシュニッツェル

なんてことはない普通のカツです。お肉を叩いて平たくしてからフライパンで揚げ焼きにするというもので、日本のトンカツのように大量の油で揚げるのではありません。付け合わせにポテト、ソースにはケチャップやベリーなどがあります。

オーストリアは肉のクオリティが良いようで、どこで食べても味・量ともに充分満足できます。また、肉の間にチーズを挟んだコルドン・ブルーなどの変わり種もあり、お店のメニューを探索すれば面白いものに当たるかもしれません。

左がチーズを挟んだもの、右は普通のシュニッツェル

左がチーズを挟んだもの、右は普通のシュニッツェル

でも、定番ばかりじゃ芸がない。今回の旅行では今風の料理を探索しようとザルツブルグで評判のレストラン「エスティマー」に向かいました。次はその紹介です。