私の家づくり実践記(1)

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日本消費者連盟関西 グループ『草の根だより』(98/9月号所収)/98/09/10

ひょんなことから一戸建ての家をつくることになったとします。さぁ、あなたなら次のうちどの方法を選びますか?

1)建て売り住宅を買う
2)大手住宅ハウスメーカーに建ててもらう
3)近隣の工務店に頼む
4)自分で作る

自分で家をつくるのは一般には無理なので、だいたい、1)から3)のどれかになるのではないでしょうか。できあいの家でいいという人もいるでしょうし、いや間取りくらいは自分で考えたいという人もいるはず。家づくりなんかよくわからないし、面倒くさいことは建築士や工務店などに任せておけばいいという向きもあるでしょう。いずれにしても、ちゃんとした家が手に入ればいいのですが、話はそう簡単ではありません。現実には困った話がたくさんあるからです。家づくりを他人まかせにしていると、たとえば、有害な化学物質にどっぷり漬かった生活を強いられたり、人体に危険な建材に囲まれて生活しなければならなくなるかもしれません。なぜ、そんな状況に陥っているかはおいおい触れることにして、どうしたらよいのか、どう考えたらよいのか、それがこの連載目的です。

最近の家ってなんか変

私自身は一生貸家住まいでいい、そう思っていました。ところが、ひょんなことから自宅をつくることになり、先の選択肢が出てきたわけです。
家を建てるとなったからには、太陽光発電や太陽熱温水、あるいは雨水による水洗便所水利用、塩化ビニル管を使わない水道給水システムなど、いろんなことを試してみたい。また、化学薬剤や農薬などに頼らず、有害物質の入った建材を使わずに家作りができるのか、さらには廃棄時にちゃんと環境に戻せるような素材なのかどうか、という将来の環境問題まで視野に入れた設計にも挑戦したくなりました。
しかし、住宅メーカーの展示場を回ってみてがっかり。太陽光発電装置はあるけど、雨水利用なんてやっている会社はなし。未だに有害なホルムアルデヒド入りの合板やボード、それに接着剤を使っているので新築住宅で病気になるというシックハウス症候群が出てくるのも当然。健康住宅なんてのを売りにしている会社が最近増えてきていますが、ホンマかいなぁ〜という内容もまま見かけます。あれやこれや見学してみて、連れ合いともども家づくりへの熱意がだんだん失せてしまいそうでした。
住宅問題に詳しい人たちからあれこれ聞いたところ、住宅メーカーの提供する家にはまだまだ問題が多く、化学薬剤に頼らない家づくりは可能だが不明な点も多く、完全なものは期待できない等が共通意見。住宅関係の本も読み漁ってみました。シックハウスや化学物質過敏症に関する話には本当にびっくりしてしまいます。大金払ってローンを抱えた結果、新築の家から出てくる有害物質で病気になるなんて、考えるだけでも頭が痛くなります。

私の選択

いろいろと考えた結果、建て売りや住宅メーカーの用意した「商品」を買うのではなく、私と連れ合いと2人で設計から始めて、信頼できる工務店といっしょに家を建てるという方法を選びました。いろんな人の紹介で、有害建材なしの住宅設計をいっしょに考えていただける工務店を大津市内で運良く見つけられたのが幸いでした。

有害建材を使わない設計をやっている建築士さんに設計を頼むという手も考えましたが、施行する工務店について建築場所からずっと離れた業者しか紹介できないような話が多く、後々のメンテナンスを考えると、地元のしっかりした工務店に頼むのがいいと判断しました。しかし、建築士さんや工事屋さんを見つけるのも大変です。(9月中旬現在未だ工事契約を済ませていない状態、念のため)

こんな内容を紹介(連載予告)

この連載は私自身の家造りを通していろいろな情報を提供していこうというものですが、皆さんにも役に立つ情報があれば幸いです。

1)有害建材を使わない家づくり
危険な化学薬剤を一切使わない土台工事、無垢材を使った家づくり、危険で廃棄もできない鉱物ウール系断熱材は使わない、いまだに闊歩するアスベスト屋根はイヤ、塩ビ等の壁紙は使わない、危険な塗装からより安全な塗装へ、有害建材を排除する特記仕様書の書き方と契約方法などの紹介
2)塩ビ管を排除した水道給水設計
昨年来からの水道法改正によって、宅地内水道関連設備について有害な塩ビ管を排除した設計が可能になりました。私自身の専門との関係もあり、全国初?の塩ビ管排除の戸建て給水配管サンプル例を提供します。
3)雨水等の水洗便所水への活用
自宅を造るなら絶対に採用しようと思っていたのが雨水利用。既存住宅にも応用できるような内容も紹介したいと思っています。
4)太陽光発電と太陽熱の温水利用
数年前に比べると価格も安くなりましたが、ファッションとしての太陽エネルギー利用ではなく脱原発を視野に入れた設計がどういうものか、そんなところに挑戦してみたいと思います。
さてさて、いかなる話になることやら。期待せずにお待ち下さい。