来年4月から電力自由化が始まる!

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2016年4月、つまり来年の春から電力の小売りが全面的に自由化されます。
自由化されるといったいどうなるのか。従来通り東京電力や関西電力など地域独占会社から買うのも、他の会社から買うのも個人の自由ということですから、原発による電気ときっぱり縁を切る大きなチャンス。でも、大メディアは電力自由化を報じても原発には極力触れないようにしているみたい。

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tambo1506来年4月以降、私たちは電力会社を自由に選ぶことができます。電力会社にはどんなのがあるのか、その発電方法はどうなっているのか、契約手続きはどうしたらいいのか等々、知りたいことは山積みですが、まだほとんどわかりません。

あるテレビ番組では既に650社が電力会社として申請しているとのこと。ただし、申込みだけで実態なしの会社があったり、他の会社から電気を買って売るだけの中間会社があったりで、全てが電気を作っているわけではないそうな。そんな有象無象の会社が跋扈する中で来年4月から自由化がスタートするわけです。

一番知りたいのは料金だ、今よりどれくらい安くなるのか、そう考える向きも多いはず。現在の電力会社よりも料金が高いようなら論外でしょうが、今後の料金改訂の不透明さ等も悩みどころかもしれません。


でも、ちょっと立ち止まって原発のことを考えていただきたい。破局的な危険性を内在させ、未来永劫に核廃棄物を押し付ける原子力発電にノーという者なら、東京電力や関西電力、中部電力、九州電力、北陸電力、北海道電力、四国電力という原発を推進する会社の電力を買わないというのが一番です。

今までは原発電力を買いたくないと思っても、電力会社は地域独占企業だから他を選ぶことができませんでした。せいぜい使用電力を削減するか、あるいは自分でソーラー発電を行って原発電力を減らすというくらいが関の山。でも、来春からの電力自由化は原発推進の電力会社を選択肢からはずすことができるチャンス。これを生かさない手はありません。より安全な発電方法を使う会社をみなが選択すれば、それが脱原発の道に繋がりますから尚更です。

flwr1506aただ、電力小売り自由化には未だにわからない点があります。たとえば、ガス発電や燃料電池から作る電気はどうなるのか、ということ。現在これらガス関連の電気は電力網に逆潮流できず売電できないことになっていますが、それは独占的電力会社が勝手に決めたルール。今後はガス会社も電気を売る時代になるわけですから、売電制度そのものも根本から見直されていくことでしょう。これには興味津々です。

さらに、電力自由化を考える場合知っておくべき法制がもう1つ。送配電のサービスと発電事業とを切り離す「発送電分離」(改正電気事業法)です。これは2020年4月に発効しますから、もうあと5年で日本でも電力サービス全般に競争が生まれることになるわけ。

「今回の改正で、大手が事実上独占している送配電網を新規参入の事業者も公平に利用できるようになり、企業間の競争が本格化することになる。利用者には電気料金の引き下げやサービス向上につながると期待される。」(東京新聞 2015年6月17日)

ということ。(注)

これら電力サービスに関する議論は3.11の原発事故後に活発になったものですが、それがやっと陽の目を見るというわけ。原発はダメだと云っていた孫正義氏のソフトバンクが最近は東電と組むなんて火事場泥棒?みたいな例も出てきていますから、電力自由化という流れの中での新たな勢力の台頭や既存利権の組み直しがどんどん進んでいくことでしょう。要注意。


ほとんどのマスメディアでは電力の小売り自由化を報じても、それを脱原発のために活用しようという話はまず出てきません。それはマスコミが電力会社を含む支配層に遠慮しているからでしょうが、脱原発を希求する人たちには電力自由化を大いなる契機として是非考えて欲しいものです。

ついでながら、米倉経団連会長(2011年当時)は発送電分離を「動機が不純」等と非難していました(ロイター 2011年5月24日等)。米倉会長をはじめとする原発推進派からすれば発送電分離は利権崩壊になるため耐えがたかったのでしょう。また発送電分離の反対勢力の一角だった東芝が、同時期から粉飾会計で体裁を取り繕っていたのが暴露されつつあるのを見ると、原発メーカーの破綻は既に3.11から始っているのかもしれません。

次回はグリッドパリティについて。

(注)ちなみに当時の菅首相の置き土産がこの発送電分離だったことは評価されて良いと私は考えています。