お散歩カメラ その3 厚化粧?

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一昨日、iPhone6のカメラについて「10年前のコンデジ以上に写る」と書きました。気になったので昨日テスト。撮影レンジの頻度分布をじっくり眺め、RICOHのGRとの比較をしてみたところ、ちょっとがっかり。結論をいえば、iPhone6のカメラが良く写っているのはそう見えるような一種の演出効果によるもので、見た目をいじくっているからでした。

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iPhone6のカメラには何の期待もしていなかった、と最初に触れたのは、いくら800万画素とはいえ撮像センサーが豆粒のように小さいため情報量がどうしても少なくなってしまうから。

画素レベルでいえば、10年くらい前のデジカメクラス。私が使った経験でいえば、NIKONのCOOLPIX 950(211万画素)よりもよく写るだろうけど、RICOHのGR デジタル(約800万画素、2006)みたいなものかなぁ、と当初思っていました。

ip414でも、iPhone6が弾き出す写真は期待以上。なかなか良い。「10年前のコンデジ以上に写る」と書いたのは、当時コンデジとしてはトップレベルな写りを誇ったGRD1との比較での話だったわけ。

とにかく見た目がくっきりはっきり。メリハリがついているのが一番良い写真、そう思う人にとってはiPhone6の写真はウエルカムでしょう。

でも、どちらも生の写真をいじり過ぎています。同じシーンをiPhone6とGRで撮り比べてみると前者はくっきり、後者は淡く見えてしまいます。色合いこってり・輪郭はっきりのiPhoneの方が受けが良いでしょうし、GRは何か私の設定ミスかしらんとも思う位に緑が強すぎ。(右はiPhone6のカメラで撮影したもの、その下はGRで撮影したもの)


gr414よくよく頻度分布をみると色のバランスが違います。iPhone6がHDR設定でダイナミックレンジを広げるのは文句なしとしても、黒を強調できるよう低周波数側の青成分を増やして色情報をいじっています。一方、GRの方は緑成分に重きを置いているような感じ。撮影条件や好みがあるので何ですが、光が写る・映るということに一番の関心がある者にとってこの写りの違いは引っ掛かりを感じしまいます。

カメラ側が光のデータをいじくり回して、見栄えの良い写真を出してくるのはユーザーの便宜を図っているからでしょうし、それ自体は悪いことではないのですが、スッピンな光のふるまいを求めている者にとっては余計なお世話です。それにしても、GRにもがっかりだなぁ。


総じてデジカメを私がもう1つ好きになれないのは、実はこの点です。だって、カメラ側の演出の結果、元々どんな色合いだったのか、彩度は淡いのか濃いのか、コントラストは弱いのか強いのか、そんなことを記憶に留めさせないから。メーカーによって写りが違うのはハードの性能というよりも、ソフトウエアの違いに大きく影響されてしまうんです。

ztylus414ということで、iPhone6はなかなかよく写る、でもやっぱりお散歩カメラはお散歩記録用でしかなく、光のデータを自分でいじくりたい者にとっては生データ(RAWファイル)を残せるデジカメの方がベター、これがここ数日の結論です。モノクロならそんな色情報に惑わされることはほとんどない、そのことも改めて感じる次第です(右はZTYLUSユニットのマクロ機能で撮ったもの)。