排水口で死んだ子の家族の思い 

プール事故

 プールに泳ぎに行ったらプールの排水口に吸い込まれて死んだ等というのは作り話ではありません。まさか、プールの底に穴が開いていて人を吸い込んでしまうなんて、知っている人の方が少ないかもしれませんがここ30年で50件以上起きています。

原因は何か。プール責任者側は吸い込まれた者の不注意を第一にあげますが、小さな子どもにプール構造がわかるわけもありませんし、穴が開いていたらいったい何だろうと好奇心を持つのが普通です。しかし、プール責任者側、とくに学校管理者は自らの責任を棚上げし、この排水口問題の解決を怠ってきました。同じ学校で2度も吸い込まれ事故が起きた所などはその典型例でしょう。本書で触れたように、90年代になって排水口事故で我が子を亡くした3家族の親たちが文部省に問題解決を直訴するまで、文部省も真剣に取り組んでこなかったともいえます。
『あぶないプール』の取材を通して、どこまでそれら家族の無念さや死んだ子の怒りを表現できるかどうか、それが筆者にとっての勝負みたいなものでした