ローリングストックの工夫

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先日TVで「ローリングストック」を取り上げていました。ストックしている食品や食材を消費した都度に補充していくという方法で、賞味期限の特段長いものを備蓄しなくても回し回し食べていけばいい、そういう話のようです。
たしかにその通り。でも、この方法は超インフレ対応で使えるでしょうか。以下説明するように、先日来問題にしている超インフレの時の準備に際しては注意が必要です。

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stock備蓄というのは、入庫(イン)と出庫(アウト)、それに在庫(ストック)の3つで評価します。

非常時の食料・食材を考える場合、消費期限・賞味期限(以下、有効期限)の長めのモノを選びます。缶詰なら3年、アルファ米のような乾燥食品なら5年は保つので、その期限内に交換・補充する、というのが通常の方法です。

この方法は震災などの非常時を念頭に置いていて、日々の用を想定しているわけではありません。有効期限の切れたものが無駄になっても保険のようなものと考えればいいのかもしれません。

 

一方、日々使い回ししながら都度都度補充していけば有効期限の短いものでもいいのではないか、というのがローリングストックのアイデアです。長期保存品の有効期限の管理は面倒だし、時間が経つと保管場所まで忘れてしまうからという配慮もあるようです。

noInstock一見、うまい考え方だなと思いますが、ここには大きな落とし穴があります。もし、モノがない・モノが買えない・買いにくい状況になったら、「その都度補充する」という前提が崩れてしまいます。とくに、食材の有効期限が短い場合にはたくさん備蓄することができないため、在庫は早晩に底をつきます。長期の混乱時には有用といえません。

でも、有効期限の比較的長いものを選び、その在庫を確保しておけば、貯めた分は利用できます。ここに都度都度補充するというローリングストックのスタイルを組み入れると、在庫がより有意義になるのです。私が考えたのは次の通り。

 

1)ストックする食材は3年とか5年という長期のものを第一とする(有効期限)。
2)混乱期間を想定し、その分に相当する分をストックする(在庫量の目標)。
3)在庫の一部を数ヶ月単位で更新(ローリング)

いったん在庫を作っても在庫のままにしておけば、有効期限が切れた時にその食材は無駄になってしまいます(注)。でも、X-dayが来るまで在庫の消費を待つ必要はどこにもありません。日々使わなくても、週1とか月数回などという頻度でストックした食材を使っていけばいい。その上で、3ヶ月なり4ヶ月なり半年なりのインターバルで補充をしていく、つまり長期在庫の一部を数ヶ月単位で更新していくのです。

災害用物品の補充がストックの有効期限内に行われるのに対し、こちらは積極的に補充する方法といえばわかりやすいでしょうか。使う都度に補充するのは面倒ですが、定期的に数ヶ月単位でというのなら私にもできそうです。

もちろん、食材は鮮度の良いものが一番です。でも、今考えているのは、生鮮物が容易に手に入らない状況であって、その時に備えてストックする食材についての議論です(念のため)。

ということで、有効期限の長い食材にローリングストックを適用すれば、無駄なく在庫管理ができそうです。結論的にはごくごく当たり前な話になってしまいました(苦笑)。ただ、普通のストックでもローリングストックにしても、超インフレの買い物混乱期にモノを云うのは在庫量。あるとないとでは気持ちの余裕が異なります。ストックしたものを置く場所、購入資金などなど制約条件もありますから、それぞれの事情に合わせてご検討下さい。

木々についた水滴がまるで花のように見えるのは近眼なせいでしょうか

梅の小枝についた水滴がまるで花のように見えてきます

(注)期限といってもそれは法制上の問題であって、缶詰や乾燥食品はもっと長い時間の保存でも大丈夫だと私は思います。ただし売る側はそうは云えず、どう判断するかはあなたの自由。