決済用預金

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snow105b先日紹介した逢沢本に載っていた国債破綻時の対処策の1つとして、普通預金口座を決済用に切り替えておくというのがありました。なるほどなと思わせる方法です。なぜか? 
普通預金であれば1000万円までしか補償されませんが、決済用預金であれば全て補償されるからです。この有用性について少し考えてみます。



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まず、決済用預金とはその名の通り、通常の支払いなどの決済に使うために設けられた預金口座のこと。郵便貯金では振替口座が相当します。日々決済する必要はありませんが、1年も出し入れがないと振替口座を閉じてもいいか等と郵便局から聞いてくるので、決済用口座にもそれなりの注意が要るかもしれません。

決済用預金の利点は何と云っても、残高の全額が預金保険の補償対象になること。一般の預貯金は1000万円までですから、この差は大きい。仮に退職金が口座に入ってきた次の日に銀行が潰れると普通口座では1000万円までしか補償されないのですから、全く別世界。

一般にバンクホリデーの時には1日に引き出せる金額が少額に制限されるのが普通です。でも、比較的大きな金額を動かす企業の当座預金を制限するのは普通預金よりも後になるでしょうし、決済用預金も後になるでしょう(と逢沢さんは指摘)。順番からいけばこれは妥当な推測です。

一方、決済用預金には金利がつきません。でも、皆さんご存じの通り、昨今の普通預金の金利はゼロに近く、定期預金や定額預金でも知れています。だから、これはほとんど欠点になりません。

snow105また、普通預金から決済用口座に切り替えるには手数料(1080円)+印紙代等のコストがかかります。でも、非常時の保険代と考えれば問題なし。以上の利点欠点を併せて考えると、普通預金のままにしておくよりも決済用預金の安全性が高そうです。

心配性だな、そんなものやっている人なんかいるのか、等と思うのはあなたの自由です。

預金が1000万円以下の場合でも、先の引出制限まで考えるなら決済用口座の方がベターなような気がします(これは単なる希望)。でも、それ以上のお金があったり、銀行口座経由で大きなお金を動かす場合、決済口座の安全性は私が指摘するまでもありません。


snow105cたとえば、マンションの管理組合の工事積立金などのような数億円規模の預金を普通預金に置いておくと、万が一銀行が破綻すると吹っ飛んでしまいます。マンション関係に詳しい人に聞くと、決済用口座を作るのは当たり前、以前からやっているよ、とのこと。私の世間知らずでした(苦笑)。

ということで、昨年末私や連れ合いの銀行口座のうち地元銀行のものを決済用預金に切り替えました。もともと銀行にはあまりお金を置かない主義なので、預金残高は少しです。それでも、引き出し制限で引き出せなくなったらイヤだし、退職金等が入った直後に銀行が破綻するとワヤですから、それなりに意味はあるでしょう。

ただ、国が本気で庶民からもぎ取るつもりなら、これとてアテにはなりません。決済用預金を作る方々は、この対処がささやかな保険のようなものに過ぎないことを念頭に置いておいて下さい(念のため)。
snow105d