シャツからホルムアルデヒド

一泉庵

  朝日新聞5月23日朝刊トップ記事は「形状記憶シャツ ホルムアルデヒド検出 基準超す商品も・・・」というものでした。形状記憶シャツの話は知りませんでし たが、新品の衣類にホルムアルデヒドがたくさん含まれていることは家庭に潜 む有害化学物質の問題をかじったことのある人なら常識です。

新聞によると、都衛研や名古屋市衛研の実態調査では形状記憶加工のワイ シャツの9割、カーテン・カーペット類の6割からホルムアルデヒドが検出され、 肌着類の基準でみると衣類の3割が基準値を越えていたそうな。凄まじい話で す。なぜホルムアルデヒドが使われるかといえば、衣類加工の際に繊維を結合 加工させるために使用するらしいのですが、メーカー側はワイシャツに肌着の 基準を当てはめるのは過敏な対応(日本紡績協会)と言っています。それなら 下着を着てからワイシャツを着て下さいと但し書きをつけるべきでしょうね。

新品の衣類はよく洗濯してから使わないと肌荒れ、痒み、痛み等の原因に なってしまいます。また、洗った衣類も新品のものといっしょに仕舞ってしまうと ホルムアルデヒドが移ってしまいます(移染)。今回の調査では洗濯して6ヶ月 後のワイシャツでも肌着類の基準値を超えていた例があるそうですが、これは 移染の結果であろうと推察されます。

ホルムアルデヒドは、皮膚や粘膜への刺激だけでなく発ガン性も強く疑われて いる物質であり、衣類だけでなく建材や接着剤その他多方面に使用されてい ます。学者の不勉強なのか業界の「知らない振り」なのか、新聞では発ガン性 について一言も触れていません。まとめとしては、衣類はすべて洗濯してから 着る、というのが処世術ですね。