電磁波は本当にこわいのかどうか?

一泉庵

  昨年末に電磁波測定器を買いました。測定器と言っても、オモチャみたいなも ので、マイクロ波(0.1〜10mW/cm2)と超低周波(1〜5、1〜50ミリガウス)が 測れる簡易型です。値段は約40ドル程度で、並行輸入代理店から送料代引 き込みで約8千円。早速使ってみてびっくり。予想よりもかなり大きな測定値が 出てくるんです(驚)。


cellCensor.jpg< これが購入した電磁波測定器 なぜ、こんなものを買ったのかといえば、自宅の設計がほぼ一段落したので、 念のために電磁波対策も採っておこうと考えたから。そんなに心配することは ないだとうとタカをくくっていましたら、あにはからんや。TVや冷蔵庫からは 困ったほどの超低周波が放出されているんですね。最初は前面にプローブを 向けていたので気がつかなかったのですが、冷蔵庫のコンプレッサーは背面に ついているため後ろ側を問題にしなければなりません。磁場は壁を通り抜ける ことを考慮し、冷蔵庫背側の壁の向こうで測定してみたら、壁を隔てて50cm 位では2,30ミリガウスも出てくるじゃないですか!TV、トースター、その他もろも ろの電気製品が放散する電磁波の量にも唖然とするものがあります。 幸いなことに、これら家電製品は1m程度離れてしまえばほぼゼロ近くに減衰 するので、使い方や配置に注意すれば、それほど問題にする必要はありませ ん。どの機器がどれくらいの電磁波を出すのか、それさえ消費者が知っていれ ば、対処策はありそうです。しかし、身につけて使用するもの体に接して使うも のには要注意だし、屋外の高圧電線や配電線は逃げようもありません。私はブ ラウンのウルトラ三枚刃電気カミソリを持っていましたが、きっぱり使うのを止め ることにしました。あ〜〜あ。 さて、こんなことを書くと、ホンマに電磁波って怖いものかどうかという疑問を 持つ人も多いはず。私だってわかりません(苦笑)。いろんな本を読み漁りまし たが、残念ながら明快に科学的に有害性を説明しているとは思えません。仕 方がないので、問題になっている米国の研究者の本や問題を指摘したと言わ れるオリジナルの論文の何篇を取り寄せて読んでみました。科学的な論文(原 典)によると、未だ「仮説の段階」であることがわかります。ただ、その「仮説」、 研究が進むにつれ、かなり黒色に近い灰色になりつつあるような気もします。 私なりの理解では次の通り。疫学調査やいろいろな研究により電磁波の有害 性を否定できないのではないかという見解がある。そうだと疑って心配している 人たちもたくさん。しかし、電力会社はそれを認めていない(認めたくない?)。 提灯持ちの学者は根拠もなく安全宣言しているが、調査研究はきちんとするべ きではないか。小児ガンや小児白血病との関係もいくつかの疫学調査で有意 になったが、そうはならなかった報告もある。しかし、90年代になって地磁気と の相乗効果を考慮したら、ヤバイかもしれないという疫学報告も出てきた。こ の研究については電力会社は故意に無視しているようだ。スウェーデンや米国 あるいはスイスでは、住宅建設の際に電磁波の測定や電気配線にまで気を配 る動きが出ている。米国では高圧電線近くの不動産について銀行が著しく価 値を減じる話も既に出ている・・・。 厳密な科学的議論でいえば、この問題は未だはっきりしないというべきところ でしょうか。それは一応横に置くとして、これらを私たち消費者がどう判断する かです。危険性が明確なものに対しては、誰でも見解は同じ(でもないか)。し かし、有害性があるかもしれないが、はっきりわからないようなものに対して、 どうするか。あるいは、危険性があるかどうか見解が分かれているようなものに 対しては、どうしたらいいのか。危険性の白黒がつくまで待っているのが得策で しょうか。いえいえ、それはあまりにも能天気です。 私は『念のために回避』という方法を勧めています。回避できるのであれば、回 避するに越したことはありません。回避するのが不可能であったり非常に不合 理である場合を除いて、『念のために回避』は身を守る処世術として有効で す。『危険性の予測』をせずに白黒の決着を待っていてはラチがあかないことを 私たちはもうイヤというほど知っています。電磁波問題も現段階では決着がつ いていない問題ですが、「念のために回避」する問題であると私は考えます。私 の測定結果や対処方法については、追って『家づくり』のページで紹介しますの で、ご興味の方はどうぞ。