石けんはどこ?

一泉庵

 私の住む滋賀県は石けん先進県だそうな。これは全くの誤解です。近所 のスーパーやお店に出かけても、石けん洗剤は種類や数が少なく、石け ん歯磨きを置いている所は稀、石けんシャンプーなんてのはほとんど見か けません。これでどこが先進県なんでしょうか。

 正確にいえば、10数年以上前にはもっと石けん製品が置いてありました。 あの有名な誤解だらけの『富栄養化防止条例』制定前後はもっとあったよ うに記憶しています。それがなぜ、ここまで減ってきたのか。簡単にいえ ば、当時の運動が住民の自覚や自発からなされていたのではなく、官製 型のものだったからでしょうね、きっと(この件についてはいくつかの傍証が あるけど、ここでは省く)。
滋賀県は5,6年前まで県内石けん普及率を20%以上としていましたが、 これは間違い。当時担当者に確認したことがありますが、粉状の合成洗剤 を石けんだと勘違いしている人の数を石けん使用者としてカウントしている ことは明白でした。実際、石けん業界に販売量を聞いてみると、どう計算 しても滋賀県内普及率は1割以下だというのが5年前の話。現在はもっと 下でしょう。店舗にも石けん製品がほとんどないのですから、普及率が2割 もあるなんてのは滋賀県が外向きに示す作り話です。
『富栄養化防止条例』騒ぎの結果、合成洗剤はリンが入っていなければ オッケイと全国で売られるようになりました。滋賀県がそういういうお墨付 きを与えてしまったともいえます。合成洗剤メーカーは全然損をしていませ ん。むしろ、石けんの方が低迷してしまったのが現実ではないでしょうか。 いったい石けんはどこに行ってしまったんでしょう。

悪い話ばかりじゃ面白くありませんね。ちょっと嬉しい話をひとつ。つい最 近、インターネットで石けん製品を販売するお店を知りました。三友という 山口県の会社で、小口での販売を受け付けているのが魅力です。2度ほ ど私も注文してみましたが、素早い配送やきめ細やかなサービスに嬉しく なってしまいました。こういったお店にはしっかりお客さんがついて末長く 成長していってほしいものと願う次第です。