ヒ素がいっぱい

一泉庵

 和歌山のヒ素カレー事件をはじめとして、けったいなニュースがマスコミを 賑わせています。しかし、ヒ素が木材の防虫防腐剤として広く一般的に使 用されている実態に切り込んでみようという報道にはとんと出会ったことが ありません。

 家を建てる時に農薬や有毒化学薬剤を異常とも思えるほど使うのが昨今 の状況ですが、ヒ素はその中でも欠かせないものとなっていることは私が 説明するまでもありません。住宅金融公庫の仕様書でもヒ素注入木材を 推奨しているくらいです(たとえば、CCA木材、CCAとは銅/カッパー、クロ ム、ヒ素/アーセニックの頭文字3つ)。
 つまり、そこかしこにヒ素入り木材 が存在しているわけ。こういった危険な有害物質なしで家づくりをすること は可能ですが、化学物質にどっぷり漬かってしまった思考の建築業界では 薬剤無しの家づくりは高価で手間のかかる方法として敬遠されがちです。

和歌山ヒ素カレー事件を単一の毒物犯罪として見るのではなく、ヒ素のよ うな有害物質に頼らないと成立しない現状にもう少し批判の矛先を向けて ほしいものですね。