国債パニック

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国債パニック ゲーム理論で破綻時期を警告!京都や滋賀は元旦から大雪。今年の暗雲を指し示しているのでしょうか。

先日書いた日本人のお金が「木の葉」になる件、どう思われましたか。国や有識者は誰もそんなことを云わない、杞憂だ妄想だ等と思われた人も多いはず。そういう人に是非読んで欲しい本があります。それは逢沢明さんの「国債パニック」。

日本国債が破綻することに関しては過去にもいろいろな本が出ています。きちんと考察したものもある一方で、危機感を煽ったり怪しい商売に繋げていくものも。そういう区別でいえば、逢沢さんのはまとも系。分析や解析は専門のゲーム理論を活用し、対処策まで網羅しています。

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150102m>著者の専門はゲーム理論。京都大学の先生でした。退職され、自身のサイトで国債破綻の記事を書いていたら人気になり、今回の上梓に繋がったとのこと。私の書庫をみると、『ゲーム理論トレーニング』(かんき出版 2003)があったので、この本で2冊目の逢沢本です。

私も「日本国債は破綻する」と考えている1人ですが、逢沢さんの本には知らないこともいくつかあり、改めて勉強になりました。また、なぜ破綻するかという理由と経緯をゲーム理論の理屈で解説した箇所も示唆に富むものとなっています。

たとえば、大赤字な日本が国債を発行できるのは国民の貯蓄や年金資産が一千兆円を超えているからで、現在の負債と帳消しにしてもまだ数年保つという話に強く同意します。その年限があと6年位だという計算も異論ありません(著者は2014年を含めてあと7年くらいを想定)。

とくに、次の引用にはびっくり。

国債が沢山増えても全部国民が消化する限り、少しも問題は無いのです。(中略)一時「国債が激増すると国が潰れる」という風に言われたことがありましたが、(中略)然し現在は全く事情が違い、我国の産業が著しく発達して居るばかりでなく、為替管理や各種の統制を行って居り、(中略)経済の基礎が揺らぐような心配は全然ないのであります。

こんな説明をする専門家や有識者は現代にもたくさんいます。ただ違うのは、上記説明は『隣組読本 戦費と国債』(1941年)の中にあるという点です。

ご存じの通り、この数年後に日本国債は紙屑になりました。敗戦と戦後のハイパーインフレで無価値となってしまったからです。この引用には驚き、呆れ、そしてよくゾ探してきたなぁと思う次第です。上記と同じ説明を聞いたら、当時と同じ状況が今現代にも起こりつつある証拠でしょう(きっぱり)。

ただ残念だったのは、問題のあまりの大きさに著者自身が圧倒されてしまったのか、2014年末が危ない等と書いたのはやり過ぎでした。だって、X-dayは外部の者には前もってわかりようがありません。

この予告ハズレを持って、逢沢本はインチキ本だとする意見が出てくるでしょうが、それは致し方なし。でも、それはたいした問題ではありません。大事なのは2015年から2020年くらいの間の、それほど遠くない時期にトンデモナイ事態が起こるだろうということ。国家の保身(国体の護持ともいう)で国民の資産をないがしろにしようという人たちと、最悪を避けようと尽力する人たちとのせめぎ合いもありますから、この先どうなるのか私にはわかりません。ただ、手を拱いていては暗い未来が待っています。打てる手は個々人で異なるでしょうが、できる手があるなら打っておきましょう。
kokusai15