キネマの神様

.Books&DVD…

キネマの神様 (文春文庫)「ジヴェルニーの食卓」に続いて、また原田マハさんの本「キネマの神様」です。本の帯には「第8回酒飲み書店員大賞受賞」とあります。何かそれだけで面白そうじゃありませんか。
登場する映画や人物の名前、あるいはシチュエーションが映画好きならニヤリとしてしまうものがあり、その方面の方々にはお薦めの一冊です。

・・・

 

「ジヴェルニーの食卓」に触発された話は前回書きました。5月の旅行の友にしようと先月あれこれ文庫本を物色している時に、そうだ原田さんのを読もうと思い立ち、手に入れたのがこれ。著者の映画に対する知識の深みや思い入れは半端ではないようで、期待以上に愉しめました。

まず、シネマと書かずにキネマと書いているところが憎い。「キネマ旬報」の世代なら納得の表記かもしれませんが、今の人に果たしてどこまで伝わるものでしょうか。

そして、ローズバッド。主人公の父親にネット論争をしかける米国人の名前ですが、ローズバッドといえば、「市民ケーン」。それを思い浮かべた人なら、この本を読んで損はありません。

まぁそんな予備知識がなくても全く問題なし。映画好きでなくても大丈夫。というか、予備知識があれば余計に愉しめるだろうけど、なくても充分楽しめる。読者は最後の最後まで引っ張られ、大団円でホロリとさせられてしまいます。

ran1406

後日談。
この本には「ニューシネマパラダイス」が登場します。連れ合いが観たことない等というので再度観てみることにしました。すると何か違う。以前に観た時(劇場版)と印象が違うのです。

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 [DVD]どこが違うかといえば、DVDはオリジナル版と称し、映画やVTRのような劇場版とは違う変なものになっているのです。チェックしてみると余分なものが60カット約30分も付いていて、まるで解説映画になってしまい、劇場版の映画の趣きをダイナシにしていました。

監督はこのDVD版をオッケイしたのでしょうか。だとしたらガッカリ。映画の余韻をぶち壊してしまい、作品としての価値を著しく減じてしまいました。もし、これからこの映画を観ようと思う人は可能なら劇場版をご覧下さい。追加編集のDVD版(オリジナル版)は映画としてはバツですね。

蛇足ですが、「ニューシネマパラダイス」の主人公トト役を演じたのはジャック・ペラン。この人は「Z」のプロデューサー。私は知らなかったのですが、連れ合いが今回WiKiか何かをチェックしていて発見。イブ・モンタン主演の「Z」をもしご存じないのなら是非一度どうぞ。世直しはいったい誰が担うのか、という命題に肉迫する映画です。そういえば、以前取り上げた「Vフォーバンデッタ」も同じ主題ですね。

Z2014